「華胥(かしょ)の幽夢(ゆめ) 十二国記 エピソード 7 短編集」読んだ

 半年以上も前に(いや、下手をすると一年近い)読み終えていたのですっかり内容が記憶の彼方へと消え去っている。あらためてパラパラとしていると、おぼろげに思い出されるところもあるが、実に怪しい。

 「書簡」については、アニメ化もされているので比較的覚えが強い。楽俊と陽子との伝言を媒介する鳥を通しての掌編。幼いころの泰麒の話や、陽子らが国を平定(といってよいのだろう)したあとの物語であったり、他の作品でも少しずつでてきた謎多き国のやんごとなき方々が出会う物語など、世界観を補完するにあまりある短編たち。というところは思い出せる。

 まあ、いずれまた再読しよう。

「華胥の幽夢(かしょ の ゆめ)」十二国記シリーズ エピソード7 短編集

小野不由美著

新潮文庫

 

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「違国日記」 全 11 巻

 この冬のアニメのしょっぱなに「違国日記」を見て、「ああ、これは大当たりだ」といたく感動してしまった。が、ゆえに原作を調べてすぐさま全巻購入した。

 ちょうどアニメの企画が進行していたころの 2023 年には完結したようで、ただ、脚本の方のコメントを見ると 2023 年の夏に最終話の原稿を引き渡したということらしく、仮に原作の最後までを網羅する形でアニメ化というのであれば、ちょっと時期がカツカツな感じはある。

 物語としては、姉夫婦(内縁)の乗った車が事故にあい、ふたりとも死亡。同乗していたひとり娘・朝は、たまたま外にいて(高速道路とかのパーキングエリアだったのだろうか?)難を逃れた。妹で作家の槙生は、姉とは折り合いが悪く、ずっと疎遠なままだったので朝との面識もないままに、訃報を受けて病院へかけつける。その後、葬儀の際に、親戚をたらい回しにされている朝を知って、

あなたを愛せるかどうかわからない

でも

わたしは決して あなたを 踏みにじらない

それでよければ 明日も明後日も ずっとうちに 帰ってきなさい

たらいまわしは なしだ

 と、朝を引き取る決意を表す。この場面だけでグッと引き込まれる。

 この作品は決して面白いだけの作品ではない。いや、むしろ面白いという笑いの観点だけを望む読者・視聴者にはつまらないものだろう。笑える場面はもちろんある。けれど、たぶん、そういう人たちにこの作品は、響かないだろう。それは、仕方がないことだ。趣味嗜好というのは、そういうものだ。

 作中、何度となく槙生は言う。

あなたの感じ方は あなただけのもので

誰にも それを責める権利はない

 と。

 そして、不器用だが誠実でやや打たれ弱い小説家と、両親をふいに失い感情のやり場を失ったまま自分を探し続ける 15 歳の少女との共同生活がはじまる。その、一部始終。

 静かに、けれど時に荒々しく、おのれの感情をぶつけあい、感情と向き合いながら、おとなも、こどもも、ともにあがきながら成長していく、そんな物語。近年、稀に出会った良作。

 アニメがどこまで描くのかはわからない。多少端折りつつもほぼ原作にそった作りを丁寧にしている。セリフと間を大切にしている。監督の意気込みが伝わる。このペースでは完結までではないかもしれないのが、やや残念に思うが、できればなにかの形で完結までアニメ化してもらえたらよいな。なによりも作風も声優さんのチョイスも実にすばらしいので。ああ、槙生ちゃんだ、朝さんだと実感できる。

「違国日記」

ヤマシタトモコ著

祥伝社

 

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「チェコのヤポンカ 私が子どもの本の翻訳家になるまで」を読んだ

 

 ラジオ深夜便の明日へのことばだったかで登場された木村有子さんの本。インタビューをなんとなく聞き始めたら、とんでもない経歴の方でそれは読んでみなくてはとさっそくに買った。

 1962 年生まれで、プラハの春、そしてチェコ事件。読売新聞の記者だった父親はロシア語ができるということで、チェコ事件後にプラハ支局を作るために赴任する。木村有子さんも母親と妹と一緒に半年遅れてプラハへ。

 父親とてチェコ語はわからないのだが、ロシア語がある程度通じるところがあるということなのだろうが、母親にしてもまったくわからない。ちょうど公団住宅のようなアパートらしきところで暮らすようになるのだが、なにしろ 1970 年ころなのでまだまだチェコの情勢はよくない。庶民の生活はいつも汲々としている。食べ物ひとつにしても簡単には手に入らない。

 そんな家族にアパートの住人のなかには手助けをしてくれる人もあって、なにくれと世話をしてくれる。子供の面倒を見てくれたり、食材の知恵を授けてくれたり。そうして片言でチェコ語を学んでいったり。

 有子さんらもなんとか子供の輪にはいって交流を深める。学校は現地の普通の小学校なのでまわりはチェコの子供ばかり。学校の先生であっても日本語はもちろん、英語であっても十分とは言えなかったのだろう。いや、仮に英語ができても有子さんには英語もわからない。

 それでも、日本という知らない国から来た彼女に子供たちは興味津々で、あれこれ話しかけてきたり一緒に遊んだり。そうしていつしか言葉にも不自由しないくらいにはなってしまうという子供の順応性の高さ。

 ただ、あまりにチェコでの生活に慣れすぎてしまうことに父親が心配し、中学にあがる前にひとり日本へ帰ることになる。けれども、チェコでの子供たちと違い、同じ日本人であるのに誰も近寄ろうとしない。外国から帰ってきたよくわからない子供という感じで疎外感を覚え、チェコに帰りたいと思う日々。

 やがて、母親や妹も帰国し、それなりに生活は落ち着いていくもののチェコへのあこがれはつのるばかり。そして、二度の留学を経てきちんとチェコ語を学ぶことになり、はては結婚してのちにベルリンで暮らすことを選ぶ。時まさに壁の崩壊の時。現場を目の当たりにしたその様子や、それ以前にチェコの友人と訪れたときのチェコ人は壁を通ることはできないが、日本人である彼女は煩雑な手続きではあるものの、それを行いさえすれば行き来は可能だという現実も体験。

 そうした、当時のチェコの人々の暮らしぶり、社会というものを知る貴重な資料ともいえる本書。そういう時代があったんだよとあらためて思う。

 40 歳を過ぎたころになってようやくチェコの絵本を翻訳することになるのだが、残念ながら今ではそれらは絶版状態だ。いまもチェコ語に関わる仕事としてあれこれ関わっておられるようではあるけれど、本来の夢であった絵本関係が堅実でないことは、いささか苦悩されているのかもしれない。

 もぐらくんの絵本、読んでみたいのだがなあ。

「チェコのヤポンカ 私が子どもの本の翻訳家になるまで」

木村有子著

かもがわ出版

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「J・G・バラード短編全集 2 歌う彫刻」読んだ(ちょっと前)

 読んだままに記録していない本がたまっているので、つまり細かいことは忘れつつある。ということで、なんとなくの記録を。

 薄れた記憶でも、それなりにこれはよかったなと思い出せるものをあげておく。

 「ミスターFはミスターF」

 「優しい暗殺者」

 「時間の庭」

 「ステラヴィスタの千の夢」

 「アルファ・ケンタウリへの十三人」

 「永遠へのパスポート」

 「歌う彫刻」

 「九十九階の男」

 「地球帰還の問題」

 「時間の墓標」

 あたりか。

 「ミスターFはミスターF」は「あなたの人生の物語」みたいなものだが、こちらのほうが好きだ。ヴァーミリオン・サンズものは、やはりどれもよい。「アルファ・ケンタウリへの十三人」は、ある意味「カプリコン1」みたいな話。

 なんと、解説というかが飛浩隆さんだった。

 すでにして絶版のようだ・・・。

J・G・バラード短編全集2 (歌う彫刻)

 

 

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「昭和史 戦後篇 1945>>1989」を、ようやく読んだ

 購入したのはずいぶんと前かと思う。後回しにしていてすっかり遅くなった。著者の半藤一利さんも亡くなられてしまったのでこの機会にと読み終えた。

 戦前篇についてもそうだけれど、学校の歴史の授業でも近現代史になると時間が足りないから「あとは教科書を読んでおくように」くらいにしかいわれず、結局きちんと学ぶこともないままに過ぎていたのが自分たちの時代。今もそうなのかは知らないけれど、おそらくはそう変わっていないのではないかと想像はされる。

 どこかの国のようにことさらに自国をほめそやし、特定の他国を貶めたり反感をもたせるような教育を充実させているようなことよりはよいのかもしれないけれど、そうしたことすら知らないままに過ごして逆にその国のプロパガンダを信じるにいたるケースも見られるような近年では、やはりきちんと学ぶことは必要なのではないかなとは思う。

 もちろん、ここで書かれたことだけがすべてで、正しいという保証はないと思うほうがよいのかもしれないし、少なくともそのくらいの気持ちで読んでおくべきかもしれない。より多くの信頼に足る情報を得て自分の判断をする。とはいえ、この本は一定の信頼に値すると個人的には思っているが、まあ、そう思いたくない人の存在というのもある。だからこそ、余計にこうした本にも触れておく必要はあるのだと。

 戦後篇だけに敗戦後の処理のあれこれなどが各種資料や証言などをもとに検証されていてよい。そして、昨今の日本や世界がどんどんそうした邪な世界になりつつあるようでよろしくないという恐怖も感じる。

 講演録の文字起こしということのようなので、平易な語り口も相まって比較的読みやすく接しやすい書物といえるので、昭和史の入門としては好適な一冊なのではないかなと。

昭和史戦後篇 (平凡社ライブラリー)

 

 

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「図南(となん)の翼 十二国記 エピソード 6」読んだ

 「風の万里 黎明の空」につづくお気に入り。陽子の時代で一番長く王位にあるのが雁(えん)王。つづく長さの 100 年以上だったか治世する恭国王・珠晶(しゅしょう)。若き(見た目)女王でありながらその長い治世をもたらすはじめとなる王にたつために旅するロードストーリー。

 少女時代にすでに王は斃れていて国は乱れており、しかし大人たちは誰も王にたとうとしない。豪商の娘であったがゆえに特に不自由のない生活ではあったものの、使用人たちの生活の実態を知ってなにかわだかまりを覚える。

 やがて、大人がだらしないならわたしが王になるしかないと昇山(しょうざん)を決意。家の金と奇獣をくすねて旅立つ。途中奇妙な仲間を得て逢山(ほうざん)を目指すが、簡単な道のりではなく金を奪われそうになったり命を危うくしたり。なんとか逢山にたどりついたところで魔物の棲む世界は想像以上に恐ろしい場所でたやすくはない。

 そんなくだりを時にコミカルに、時に哲学的に描き出していて実に読ませる。最後の叫びは実に当然でもあるが、まあ、それは今このときだからそうであったのであって、彼女が生まれたときにはそうではなかったのだろうと読者としては理解もできる。それでも、その叫びは実に正しい。そんなホッとした最後を迎える旅路の痛快さが実によい。

 今作だけを読んでもまったく問題なく成立する物語ではあるものの、順序よく読んでいると、「これはあの?」と気づく部分も多く、物語世界全体を補完するに十分な作品であることもまた事実。

 ぜひ、この作品はアニメーションで見たいものだなと思うのだが、もう無理なのだろうか。

図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)

 

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「エンピツ戦記 誰も知らなかったスタジオジブリ」文庫版を読んだ

 これまた読んだのは夏ころなのでちょっと記憶があいまい。舘野さんのこの本を単行本の頃に知って読もうと思っていた。で、単行本買うかと思っていたころに急に扱いがなくなってしまい、増刷を待つかと思っていたらふいに文庫化の話が流れてきたので、ではそちらを待とうと。ということで夏ころだったかに出たのを買った。

 ジブリで舘野さんがどういう仕事をしていたのかということがわりと丁寧に書かれていて、なるほどそういう作業を専門に請け負う人を用意していたか。と素直に驚いたが、しかし、これはひとりで背負うにはなかなか大変な仕事なのではという感じ。以降、ほかのスタジオでもこの体制というのが広がっているようで「動画検査」だったり「動画チェック」だったりという名前がでない作品はあまり見ないという感じになっている。

 若かりし頃のお写真などもあって、「そりゃ若手男性スタッフは落ち着かないよね、うん」と納得したりも。

 ジブリを辞めることになるいきさつにしてもその重責と負担の大きさは否めないようで、それでも、その後ササユリをはじめて後進の指導・育成に当たられていて確かな人材育成・排出に貢献されていてとてもすばらしい。

 そんな、あれやこれやを知る一端となる本書。アニメ制作の実際を垣間見るという点でも有益な一冊とはいえそう。この手はあまりないので。ベテランの人たちがもっともっとこの手の本を聞き書きでもよいので残していくべきよねとも強く思う。

エンピツ戦記-誰も知らなかったスタジオジブリ (中公文庫 た 99-1)

 

 

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「メイドさんは食べるだけ 5」買った、読んだ

 来年 2026 年にアニメ放送があるというのは知っていたけれど、まさかここへきて長らく出ていなかったコミックス続巻がでるとは。

 ということであわてて予約して購入、読んだ。

 現状では既刊分はすべて絶版。電子書籍は残っているのだろうけれどもはや増刷されることもなく続きがでることも紙ではないのではとがっかりしていたところなので朗報。

 相変わらずすずめちゃんはかわいいし、おいしいものを食べている(しかも贅沢なものでは決してない!)姿はうれしそうなのでこちらも幸せな気持ちになれる。ふっ、実にほのぼのした漫画なのである。

 アニメ化を機に既刊分の増刷がかかるのかは気になるところではあるけれど、さてどうか。ちょっとマイナーな作品なので難しいかもしれないか。あるとよいがなあ。

 アニメのほうも通常の 30 分枠ではなく 15 分枠あたりかもしれない。まあ、そのほうがほどほどともいえるので、どのようであってもよい。声も一ノ瀬加那さんというので、まずまず良い感じだし。動くすずめちゃんを楽しみに来年を待つのだ。(ほとんど我が子の成長を喜ぶ親のような心境)

メイドさんは食べるだけ(5)

 

 

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「丕緒(ひしょ)の鳥 十二国記 エピソード 5 短編集」読んだ(すでに)

 短編集ということで基本的には本編の物語とは少し離れたところにある物語群。どちらかというとこの世界というものをより確かなものにするために補完される物語。

 王に関する儀式のひとつとして作りものの鳥を射落とす儀式があり、その鳥を作ることを生業としている官の話が表題作。その儀式のふしぎな光景であったり、それにまつわるさまざまが語られていって、世界観を補うにもおもしろい。

 春ころに読んだのでちょっともう記憶があやふや。

 

 

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「ときときチャンネル 宇宙飲んでみた」読んだ

 確か単行本刊行の際だったかウェブページで表題作だけ全文公開されていたのを読んだ記憶。その時点でおもしろいと思っていたのだけれど、文庫になったというので買って読むことに。というか、まあ、すっかり忘れていたというのが正しいかもしれない。

 表題作含めて近年はやりの個人による配信チャンネルのしゃべりを再現した形で語られる SF。短編であるしライトな物語なのでなにか壮大なということでもないのに、突拍子のない発想で展開される配信なので昔懐かしいハチャハチャ SF を思い出すようで楽しい。宇宙は飲んでみるし、部屋は無限増殖していって帰るに帰れなくなるし、などなど。

 しかし、これは映像でこそ見たいかもしれない。裏世界ピクニックよりもよほどアニメにしてほしいかもしれない。まあ、ようやく二巻目がでたところなので OVA とかでもいいのだけれどな。そういう話が進行しているとよいなあ。

 

 

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