新聞の書評欄で村野ミロシリーズの新刊がでたと知ったので買った。前作「ダーク」から 23 年。雑誌連載だったようなので連載開始としては 20 年の時を経てということだったらしい。「ダーク」では本当にうつうつとした物語がずっと続いていてつらくなるような体験だった記憶があって、さすがに 20 年も前では細かいことはとうに忘れていて、ただ何人もに裏切られてレイプされて身籠ってくらいしか記憶がなかった。とにかくうつうつとした展開だったような記憶だけがあった。
で、20 年後としてはじまる物語。シリーズ続編だとあくまでも内部時間で経過していて一年後とか数年後とかだったりすることは多いというのに、実時間に合わせて 20 年後の物語。なんとか逃げおおせて沖縄でひっそりと暮らしていたミロと息子ハルオに、因果はめぐるというのか、かつての仇敵の影がひたひたと迫っていて、それもあってミロとハルオが仲たがい。かつてふたりを助けてくれたがゆえに服役しているジンホとの関係を発端としてそのほころびが次第に大きくなっていく様。
その意味では本作もなかなかにつらいけれど、「ダーク」ほどではない。そこが 20 年という時のなせるわざなのかもしれない。ハルオはミロと別れて遺伝子的な父である山岸の一家に身を寄せるが、一家の血を引く者という以上の感情が彼らにはないし、いまだ憎しみの対象でしかない。結局、財産も体もボロボロにされたハルオと邂逅できたミロがさて、どう決着をつけるのか。
というあたりでもはや紙数はあまり残されておらず、ある意味意外な感じで仇敵は消える(と思われるが具体的に描写されたわけではない)。そして、服役からようやく出所したジンホにまで彼らの復讐は及んだやに見える。が、そこで物語は終わってしまった。
壮絶であったし、これはひとつの終わりではあるのだけれど、やはりジンホのこととか、山岸一家のこととか、いろいろすっきりできたらなあという展開が残ってしまったので、いずれもう一作書いてくれないだろうか、などという身勝手な願いが生まれてしまったりもした。まあ、ミロシリーズが好きなだけなのかもしれない。
余談ながら、前作「ダーク」もこの「ダークネス」もほぼ 500 ページあまりという長さでありながら、本の厚みが 2/3 ほどに今回なっていて驚く。薄い紙を使っているのだあ。
シリーズをはじめから再読してみようかとも思うものの、あのジメッとした降り続く雨の世界を印象づけられる作品の最後は、やはり希望のもてるカラッとした青空で読み終えたいようには、あらためて思うな。もう一作、書いてくれないかなあ。
ダークネス:桐野夏生
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