いよいよシリーズ最後、5作目の「ミネルヴァ計画」。分冊はされておらず 550 ページあまりとなかなかに長い。二章立てにはなっているが、一章のほうがやや長い感じの 300 ページくらいだったか。
物語としては、ハントのもとに異なる世界線のハントから通信がはいるというところから。多元宇宙の存在とそことの通信方法を模索するという展開でほぼ一章が終わる。長い。方法は一応確立するのだが、無限にもあるであろう多元宇宙のどことつながるかは特に指定はできない。そもそも、その区別をどうつけるのかがわからない。けれどもその到達時間というか、時点というかをおおざっぱに指定することは可能になるという展開。無茶は無茶だが、まあ SF なので多少の誇張は必要だ。展開の上では。
そうして以前地球を観測していて地球人は武装を強化していて非常に危険だという嘘の情報を送っていた一段を姦計にはめて結果として彼らが五万年前のまだ破壊されていないミネルヴァのある世界にたどりついているということがわかっている(なぜだったろうか?)。そして、彼らがそそのかすことでルナリアンは好戦的人種となったみたいな展開から、これを阻止しようという話になった。
とはいえ多元宇宙なのだから無数に同じ世界が存在していて、そのどこにたどりつくかもわからないのに、その世界を修復したところでほかの世界はどうなるのか。ある宇宙での変化が他の宇宙に多少なりの影響を与えることはあるのだろうという考えではあるが、それにしてもとは思う。
で、まさに転換点の事件が起きるというその場に到達したというあたりから手に汗握る展開がおこるのが二章の中盤くらいからか。そのあたりからはなかなか面白い。絶体絶命という場面をどう転換するのかというあたりもなかなか面白い。ただ、それでもたまたまその世界を変更してそれでどうなるのだ? という疑問は尽きない。
前作でいい関係になったと思ったジャーナリスト、ジーンは名前すらでてこない。結局色恋には縁がないというハントにしてもなんだかなあという感じがしないでもない。
とにかく一章が長すぎる。くだくだと理論の議論ばかりで延々と展開されてこれはさすがに飽きる。ここを半分にしていたらもう少し展開にスピードもあってスぺオペとしてもよかったのではないか。いや、これハード SF というよりは、すっかりスペースオペラだなという感じなので、やはり議論の場面はもう少しコンパクトにしておかないと展開がのんびりしすぎてしまう。面白くはあるけれど、やや蛇足という感じになってしまったのは、残念な感じがした。さすがに著者が亡くなっているので、よほどでない限りは続きがでることもないので、もう安心してもよいのだろう。
ミネルヴァ計画 (創元SF文庫)
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