「違国日記」 全 11 巻
この冬のアニメのしょっぱなに「違国日記」を見て、「ああ、これは大当たりだ」といたく感動してしまった。が、ゆえに原作を調べてすぐさま全巻購入した。
ちょうどアニメの企画が進行していたころの 2023 年には完結したようで、ただ、脚本の方のコメントを見ると 2023 年の夏に最終話の原稿を引き渡したということらしく、仮に原作の最後までを網羅する形でアニメ化というのであれば、ちょっと時期がカツカツな感じはある。
物語としては、姉夫婦(内縁)の乗った車が事故にあい、ふたりとも死亡。同乗していたひとり娘・朝は、たまたま外にいて(高速道路とかのパーキングエリアだったのだろうか?)難を逃れた。妹で作家の槙生は、姉とは折り合いが悪く、ずっと疎遠なままだったので朝との面識もないままに、訃報を受けて病院へかけつける。その後、葬儀の際に、親戚をたらい回しにされている朝を知って、
あなたを愛せるかどうかわからない
でも
わたしは決して あなたを 踏みにじらない
それでよければ 明日も明後日も ずっとうちに 帰ってきなさい
たらいまわしは なしだ
と、朝を引き取る決意を表す。この場面だけでグッと引き込まれる。
この作品は決して面白いだけの作品ではない。いや、むしろ面白いという笑いの観点だけを望む読者・視聴者にはつまらないものだろう。笑える場面はもちろんある。けれど、たぶん、そういう人たちにこの作品は、響かないだろう。それは、仕方がないことだ。趣味嗜好というのは、そういうものだ。
作中、何度となく槙生は言う。
あなたの感じ方は あなただけのもので
誰にも それを責める権利はない
と。
そして、不器用だが誠実でやや打たれ弱い小説家と、両親をふいに失い感情のやり場を失ったまま自分を探し続ける 15 歳の少女との共同生活がはじまる。その、一部始終。
静かに、けれど時に荒々しく、おのれの感情をぶつけあい、感情と向き合いながら、おとなも、こどもも、ともにあがきながら成長していく、そんな物語。近年、稀に出会った良作。
アニメがどこまで描くのかはわからない。多少端折りつつもほぼ原作にそった作りを丁寧にしている。セリフと間を大切にしている。監督の意気込みが伝わる。このペースでは完結までではないかもしれないのが、やや残念に思うが、できればなにかの形で完結までアニメ化してもらえたらよいな。なによりも作風も声優さんのチョイスも実にすばらしいので。ああ、槙生ちゃんだ、朝さんだと実感できる。
「違国日記」
ヤマシタトモコ著
祥伝社
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