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「図南(となん)の翼 十二国記 エピソード 6」読んだ

 「風の万里 黎明の空」につづくお気に入り。陽子の時代で一番長く王位にあるのが雁(えん)王。つづく長さの 100 年以上だったか治世する恭国王・珠晶(しゅしょう)。若き(見た目)女王でありながらその長い治世をもたらすはじめとなる王にたつために旅するロードストーリー。

 少女時代にすでに王は斃れていて国は乱れており、しかし大人たちは誰も王にたとうとしない。豪商の娘であったがゆえに特に不自由のない生活ではあったものの、使用人たちの生活の実態を知ってなにかわだかまりを覚える。

 やがて、大人がだらしないならわたしが王になるしかないと昇山(しょうざん)を決意。家の金と奇獣をくすねて旅立つ。途中奇妙な仲間を得て逢山(ほうざん)を目指すが、簡単な道のりではなく金を奪われそうになったり命を危うくしたり。なんとか逢山にたどりついたところで魔物の棲む世界は想像以上に恐ろしい場所でたやすくはない。

 そんなくだりを時にコミカルに、時に哲学的に描き出していて実に読ませる。最後の叫びは実に当然でもあるが、まあ、それは今このときだからそうであったのであって、彼女が生まれたときにはそうではなかったのだろうと読者としては理解もできる。それでも、その叫びは実に正しい。そんなホッとした最後を迎える旅路の痛快さが実によい。

 今作だけを読んでもまったく問題なく成立する物語ではあるものの、順序よく読んでいると、「これはあの?」と気づく部分も多く、物語世界全体を補完するに十分な作品であることもまた事実。

 ぜひ、この作品はアニメーションで見たいものだなと思うのだが、もう無理なのだろうか。

図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)

 

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