「風の万里 黎明の空 十二国記エピソード 4」読んだ
読み終えて半年くらい経ったので記憶は少しおぼろげ。とはいえ、アニメ化された部分ではあるし、中でも好きな物語ではあるのでひとまず記録。
王にはなったもののこの世界のことが分かっていない陽子にとって、いきなり政をせよといわれても正直困惑するばかり。覚えることも多くそうでなくてもただの女子高校生でしかなかった身。そこで、一念発起して里におりて庶民の生活や、きちんとした師に教えを乞うことになる。その中で、女王を快く思わない一派による企ての渦中に引き込まれていく。
陽子よりもはるか昔の日本から蝕によって流れ着いてしまった鈴。ことばもわからないままに辛い生活を送っていたが、なんとか仙籍を得て奉公することがかないことばの不便からは解消されたものの、虐げられる日々に嫌気がさしている。聞けば景王は自分と同じ身の上でありながら王になったという。きっと自分の身の上を理解して助けてくれるに違いないと慶国を目指す。
北の芳国国王の娘であった祥瓊。父の圧政をいさめることもせずに贅沢三昧であったがゆえにクーデターによって身分をはく奪されてなお生きながらえる道だけはえたが、その事実を知っている預かり先で責め苦を受ける日々。やがて、実は王女であったと知れることとなり、その身を他国の王にゆだねることでなんとかふたたび生を得る。しかし、生来のお嬢様気質もあって自分がこのような待遇を受けることは理不尽であると宝を盗み逃亡。追手につかまりそうになったところを陽子の手助けをしこちらでの親友ともいえる楽俊に出会い、少しずつその気持ちに変化が生じていく。
胎果でありながら女王になったという陽子への妬みをもっている祥瓊もまた陽子にあって恨みをはらそうと考える。そうして慶国を目指すふたりの少女(あくまでも見た目)の旅路と、いざ慶国にはいってから陽子を陥れようと画策する一団とによって大きな渦に巻き込まれていく三人三様の物語が、やがてひとつへと収斂していくさまが丁寧に描かれていて実に面白い。手に汗握るとはこのことという。
壮大でありつつ三者三様の心の動き・変化といったものを丁寧に描き出していて単なる冒険譚だけにとどまらない感動を残してくれるというシリーズ随一ともいいたい傑作。(誉めすぎか?)
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