「父と暮らせば」
広島に原爆投下されて三年後のお話。図書館で働いている女性が雷のなか帰宅。怖がっていると父親が頭に座布団をかぶって押入れから娘を呼ぶ。なるほど父親とふたり暮らしなのか、と思いつつ見ていく。
次第になんとなくおかしな雰囲気を感じはじめる。ひょっとして実は父親は原爆で亡くなっているのではないか? という感じがしてくるのだが、描かれ方がそういうふうでもないので亡くなったわけではないのかと思いつつさらに見る。
図書館に原爆資料を見たいと訪ねてくる男がいて、その男はお前のことを好きなのだ。いい奴ではないかといったことをいって父親が娘に付き合うようにそそのかす。けれど、友達も失っていて自分だけが生き延びてしまったと負い目を感じている彼女は、そういう気持ちになれない。自分がしあわせになってはいけないのだと強く思い込んでいる。
留守の間にあれこれ父親がやってくれている様子が描かれていたりもあって、やはり亡くなってはいないのかと思ったりするのだが、中盤くらいでいよいよ当日のことが描かれて父親は亡くなっていたとわかる。彼女がたまたま生き延びたというあたりも描かれる。現実的なところでいうとそのくらいでなんの被害も受けなかったかというと疑問はあるものの、まあこれはお話であるのでそのあたりは仕方ないのかとも。
そもそも戯曲であって舞台でのふたり芝居だったのだろうなと思われる。だから映画では相手の男性もたまにちょっとだけでてくるのだが、あまりいろいろはでてこない。恐らく舞台ではまったく出てこないのではないか。父親と娘だけ。舞台だからそれでよかったのだが、映画になるとやはりちょっと違和感が残ってしまうのはありそうだ。といってどう描くべきかはなんともいえない。
さほどこれということはないけれど、次第に娘が原爆から生き延びたことの呪縛から解かれていって相手の男性を受入れようと、しあわせになってもよいのだと思うのだろうなという展開で終わるのが救いなのか。なかなかよい作品だけれど、やはり舞台むきなのかもしれないななどとは思った。
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コメント
こんばんは。
この映画は観ていないのですが、テレビの劇場中継で見たことがあります。父親役がすまけいさん、娘役はあまりテレビでは見かけない女優さん(少なくとも私は存じ上げませんでした)でした。
ご推察通り舞台では相手の男性は出てきません。家の中で、ただ父と娘の会話だけのお芝居でした。私が見たときは娘役の女優さんがとてもお芝居が上手く、すまけいさんの絶妙な間と相まって、引き込まれてしまいました。
映画は映画でまた別の良さがあるのでしょうね。いつか観てみます(*^_^*)
投稿: ぽんず | 2016.01.06 18:19
>ぽんず さん
わたしは舞台のほうは見ていないのですが、もともと舞台の脚本として作られたということが映画を見ていてもわかるくらいなので、いささか映画だと不自然なというか無理がというか、そういう違和感みたいなものは感じてしまいました。
カメラワークとかもかえって物語を分かりにくくしてしまうような印象も。映画としては正しいのですけれど。
GYAO! でもまたやるかと思うのでチェックしてみてくださいませ。わたしは NHK あたりで舞台のほうを放送することがあれば、見てみたいです(^^)
投稿: ムムリク | 2016.01.06 19:36