「コトバのない冬」に言葉を失う冬
「高岡早紀さん、好きです><」という映画。
全体としてはイメージビデオというにふさわしいところで、映画としてはその脚本も演出もどうも中途半端にすぎる。物語としては父親から親戚なのだろうかまで届けるように頼まれた薬を届ける(父親は薬剤師をしているらしく、薬局を経営しているようだ)。普段彼女は牧場で働いていて車も運転するが、なぜかその日はバスで行ったらしい。しかし、天候が変わってしまってやや吹雪くような天気に。バスはなかなかこない。田舎では数時間に一本というのも当たり前。
バスを待っているところに現れる男性に声をかけるが、要領を得ず、どうやら口がきけないらしいとわかる。なんとなく時間を待つあいだに彼がいる休園中遊園地らしきところに案内され、そこで時間を過ごす。しばらくしてバスで帰る。
なんとなく気になったのかまたそちらに向かってみたり、文字で会話したりするようになる。
場面が急に変わって気づいたら彼女は病院にいる。牧場にいてなにか事故があったらしいとはわかるが詳細は不明。最近の記憶を失っているらしいという話になる。彼のことも思い出さない。彼のほうは連絡してと渡された電話番号に電話しようとするが、言葉がでないのでは電話しても意味がないとやめてしまう。
といった映画。うーん、渡部さんが監督をしているのだけれど、なにを描きたかったのか。ゆらゆらと極端にゆれ、さらにあちこち興味のままに向けられるカメラワークを素人仕事と評している向きもあるようだけれど、おそらくこれはそうではなくてドキュメンタリーっぽさを狙っているのだろうとは思う。
そもそもの会話とかが脚本などはなくて、撮影ではない日常的な雰囲気を重視した雰囲気になっている。さながらホームビデオでも撮っているという雰囲気。ただ、では、それが意味をなしているのかというと、そうではない部分もあり、そのドキュメンタリーっぽいところが生かされるような状況もないし、なにより必然性がない。
悪くいってしまえば素人監督がなんとなくこんな映像撮ってみたらスゴクない? というような感じで作ってみましたという同好会的な映像の羅列なのだ。ゆえに、イメージビデオとしてはそれなりによいかもしれないけれど(一切音声がなければ。実際無音の場面も冒頭には多く、テレビ放送ならば放送事故かと思うほど)、映画としてはお世辞にも褒められないしろものではないかと思う。
それがなぜか世界では絶賛されたような話なのだが、それはもう映画そのものではなくプロデュースの力といったところなのではなかろうか。
物語の展開にもなにかあるというわけでもなく、つながりすらあいまいとなってはもはや映画としての体をなしていないのではないかと。いっそ、高岡早紀のイメージビデオとして作り直したほうがよほどマニア受けするのではなかろうかと。いや、あるいはそれは監督である渡部さん自身がそうしたいのかもしれないし、個人的には例のホームビデオ的な映像だけを集めてコレクションされていたりするのかもしれない(失礼)。
男が言葉を発せない事情などもわからないし、その必然性も物語からは見えてこない。
触れ込みのわりにはあまり見る価値を見出せない映画ではないかというのが、残念ながら大勢をしめる映画ではなかろうかと。
あ、音声レベルが低すぎるのも困ったもの。PC 側の音量をほぼ最大にしても小声の部分は聞き取りにくかったので。
なるほど、見たものが言葉を失う映画であった。
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