人と世
![]() | 花蓮街(初回限定盤)(DVD付) 一青窈 フォーライフミュージックエンタテインメント 2010-04-21 by G-Tools |
そういえば新歌謡を標榜した曲以降の、新しいアルバムが出たということだったので、買ってみた。発売から半月以上になるので、DVD 付きの初回限定版などは、もはや終っていて入手できないと思っていたのに、意外にもまだ問題なく入手できた。amazon にも連休中で在庫がなかったようだけれど、再入荷したらしく在庫ありになっている。大量に作っているのか、はたまた今回は売れ行きが芳しくないのか。実際、amazon でのレビューは割と厳しい感じが強い印象。
聴いてみると、率直なところとして、どれもみな似たような平板なイメージに映ってしまう。もちろん、それぞれ異なるのではあるけれど、全体的なイメージがある括りで固まってしまうような。その中で異質なのは、新歌謡=進化窈ということで、発表された歌のひとつ「うんと幸せ」だけ。進化というよりは、これまでの一青窈の雰囲気に近いともいえるこの曲は、それだけに違和感は少ない。
新歌謡とはいいつつも、影響を受け、ある意味目指そうとしていたらしき、阿久悠を彷彿とさせるようなものは、せいぜいがところ「ユア メディスン」くらいかなあ。実際、これが新歌謡3部作のはじめだったわけなので、当然なのかもしれないけれど、ほかは昭和テイストな歌謡曲を彷彿とさせる、というよりは、むしろ今風のポップスをイメージさせる軽い感じの曲がほとんど。電子楽器が前面にでているのもあり、進化といえば進化かもしれないが、歌謡かというと、そうでもないような。
はたしてこれは、進化なのか退化なのか、はたまた単なる変化に過ぎないのか。
もちろん、どこへ向かうかは一青窈本人の問題であって、視聴者がつべこべ云ったところではじまらないところではあるけれど。デビュー以来のものが、ずっと変わらずにいることがよいとは思わないものの、では、これが、目指すべきものなのかというのは、さてどうなのだろうかとは、思わざるを得ないか。
ということで、歌詞が書かれた冊子(といっていいのかな)をみると、なるほどと疑問氷解。すべて小林武史氏ひとりによる作・編曲。唯一、「うんと幸せ」だけは、武部聡志氏との共作だった。どうりで、どれもみな同じ印象なわけだ。
ついでということで、過去のアルバムの作・編曲者を調べてみると、ここまで偏ったものはかつてなかった(ベスト版は持っていないので、それ以外のもので。作・編曲なので曲数より多くなる例もあり)。多彩な人材による作曲が、これまでの一青窈を一青窈たらしめていた。そのイメージは実際多彩でありながら、大きな一青窈というひとつの形をきちんと作っていたようには思う。
【月天心】武部聡志 3
溝渕大智 1
マシコタツロウ 2
富田素弘 2
森安信夫 2
山内薫 1
【一青想】富田素弘 3
井上陽水 2
マシコタツロウ 3
武部聡志 2
【&】富田素弘 2
マシコタツロウ 1
武部聡志 3
都志見隆 1
山内薫 1
小林武史 1
金子隆博 1
森安信夫 3
【Key】武部聡志 9
秦基博 1
皆川真人 1
川江美奈子 4
Akeboshi 1
高野寛 1
鈴木正人 2
横山剣 1
【花蓮街】小林武史 13
武部聡志 1
パッケージには、「『花蓮街』という架空の街でうごめく真実と虚構、感情が織りなすコンセプトアルバム」とかかれていることを思うと、新歌謡・進化窈を目指した曲を含む、企画アルバムにすぎないというようにも受け取ることができるのかと。とすれば、この先に発表される動きで判断されるべきなんだろうね。そうはいっても、ここまで個人によるというのは、別の理由もあったのかなどと想像してしまったりはするけれど。
ただ、架空の街というのであれば、もっとその街がイメージできるような、全体を流れる物語が感じられたらとも思うのだけれど。とりあえず、そういうコンセプトにしてみましたというだけで、内容が伴っていないようにも思えるのだけれど。
一青窈の曲の真価は、特異な歌詞にあると思っているので、それを生かした曲になっているのかといえば、今作は微妙な印象は否めないか。それでも、耳に残る曲もないわけではないので、はたして、どこへ向かおうとしているのか。本当の評価は今後でるシングル・アルバムを待つことになるのだろうね。個人的には、あくまでもこれはコンセプトアルバムとして終るほうがよいのでは、とは思うけれど。
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