「里山奇談 2 めぐりゆく物語」
春ころに買ったものをようやく読む。このごろ三作目が文庫化されたばかりだったりするが、それを読むのはたぶん来年あたりかもしれない。まだ買ってないし。
現代の「遠野物語」とでもいうようなちいさなちょっと不思議な話が、たくさん詰まっている。いくらかは実体験であろうし、いくらかは誰かに聞いた話であろうし、いくらかは物語とするためのフィクションでもあろうし。
そうした田舎の不思議な体験、物語というのは、最近でこそ少し薄れてきているようにも思うものの、かつてならばより身近に存在した。そんななつかしさも覚える小品集。
かつて北海道の峠を自転車で越えていた自分としては、とうぜんひとりで峠を越えているさなかに思いをはせるといろいろ思うことがあったり、犬の話などは浜中ユースホステルにいたホステラーを展望台まで勝手に案内してくれる犬(大型犬)を思い出したり(当然案内してもらった)。
遺体に群がる蝶の話は「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」のなかの蝶の話を思い出させたり。
真偽のほどは定かではないし、考え方はいろいろあるだろうけれど、自然への畏怖という日本的な考え方というのは、謙虚に生きるという上では大切なことではないかと思わないでもない。科学文化が発達してそうしたことへの意識・畏怖が次第に薄れてきている現代にあってこそ、思い起こさせるべきかもしれない。
そんな小品集を、心の休息のように、ときおり拾い読みするのもまた一興ではないかしら、と。
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