■ 時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん
出だしはよかった。ああ、王道的なラブコメに普通ならわからない謎なことばであるはずのロシア語でデレるというのがよいインパクトだった。
のだが、すぐに生徒会長選挙とかいうのに絡んだ展開ばかりになって本来のおもしろさが消えてしまった。デレることも少なくなったし。なぜ、こうもそういうおかしな展開に持っていきたがるのか。俺ガイルとかもそうだった。設定としてのちょっと面倒くさい家庭はまあよいとして、そこから生徒会だの、ダンスパーティーだのというイベントを仕切るみたいなのは、なんだろうなとは。普通の学生生活ってのは、そういうものだったのか、今はと思うことにする。
なにやら生い立ちとか境遇とかいろいろ面倒くさい設定があるようで、それを活かしたいがための生徒会長選挙とかなのだろうけれど、そういうのは別の物語でよいのではと思わないでもないか。
半端なところで終わりと思ったら続きをやるそうで、まだまだこの展開で続くのかと。時間も空くことだしちょっと興味を失っていそうではある。
■ ダンジョンの中のひと
特にチェックしていたわけではないものの、なんとなく見てみたら思いのほかよかったという作品。やわらかなタッチのデザインと、それをさらに上回るゆるーい演出とかもあって実によい。ダンジョンが自然に存在しているというのがこれまで多くの作品のスタンスだったけれど、実は運営している人々があるという発想がそもそも面白い。
全体としては少し脈絡なくという感じではあったけれど、まあ、それも気にならないほどの作品の雰囲気の良さとでもいうものがあった。
わけてもチビゴーレムのかわいさよ。エンディングのハイタッチならぬロータッチのリレーなんてもうかわいいが過ぎる。
もしも続きがあるならまた見たいとも思うものの、まあ日常的な物語ではあるので(クレイの育ての親を探すという目的があるにはあるが)特になにもなくのんびり進むという感じではあって、あまり続けてもむしろつまらないかなとも思う。
■ 狼と香辛料 2024 年版 2 クール目
かつてのアニメ化でとばしてしまった話を順番通りにいれるのだという大命題を果たすがためにリメイクしたという感の今作も終わり。そして、来年あたりに続きを放送するらしい。
実のところ原作はどうだったのだろうということで一巻を買って読んでみたのだけれど、少し読んで投げ出してしまった。この文章はひどい。これをよくぞアニメの脚本に仕上げてくださったと脚本家の方に感謝したい。この脚本があればこそ、これだけの作品になれたのだ。
映像は前作からは年数がたっていることもあって時代に即した丁寧なものに切り替わったし、それをささえるスタッフさんもきちんとしているので映像作品としてはよいものができあがった。まあ、同じものをまったく同じように見せられていた終盤まではある意味怠惰なところもあったわけだが。
この原作者さんには、今後は自身で小説を書かずに漫画の原作者として活躍していただくのがいちばんよい道なのではと愚考する次第。
まあ、物語としては好きだし、アニメとしては好きなので次回も見ることは見るだろうとは思うが、原作本を買うことは二度とない。
■ 義妹生活
12 話使ってようやくプロローグが終わった。妙にまじめくさった文芸でございという匂いばかりが鼻について、せっかくの面白みがどこかへ行ってしまった。文芸、文学をやりたいというのが原作のようで、それはそれでよいとして、それにしてもいってみれば 3 巻終えてもまだふたりの仲がはじまらない。なにも起きない(実質的には)物語のなにが面白いのだろうかとは。
いや、それでこそ純文学だというのなら、とっととラノベを止めてそういう土俵へ出ればよいものを。
ラブコメではないというのはそれでいい。心の機微を丁寧に描きたい。それもいい。だからといってこんな間延びしたフラットな展開だけが延々と繰り返されて、なにもないままに終わるとかいうのは、視聴者を莫迦にしているというようなものではとも。
毎回原作者が、短編小説かというくらいの長文解説をつぶやくとかも気持ち悪かった。そこまでしないと伝わらないならもはや意味がない。そんなもの必要なく伝わるのが本来求められるものであろうし、もちろん全部が伝わるはずもなく、そうしたささいなポイントについてだけひとこと補足するならありなのに。一から十まで解説いれないと伝わらないのでは、もはや本末転倒だ。
制作としてもそうとう予算が限られていたらしく背景の安さはひどかった。魔法科高校の優等生を彷彿とさせるものがあったので、アジア系の安いスタジオに安く投げた結果なのではという感じがする。人物方面はさほど悪くはなかったけれど、せっかく仁井さんがデザインしたのだが、もったいない感じで作品に恵まれない人であるなあと、つくづく。
■ 先輩はおとこのこ
これまたまったく気のないまま見始めたら案外よかった。単純に女装男子というだけかと思ったらそうでもなく。ただ、あまりにもメインの三人に大きなトラウマというか家庭や周辺の環境というものを設定しすぎてやや重すぎたというか、収拾がつききらない感はあった。
それなりにまとまったけれど、結局劇場版を作ってしめるという計画だったらしい。ただ、これを劇場で見る人がどれほどあるのだろうとは。悪くない作品ではあるものの、ユーザーは少ないだろうなとも。
■ 物語シリーズ オフ&モンスターシーズン
1 クールかと思ったらどうやらまだ続くようなので途中までということで。
正直なところ少しこの独特のノリに疲れてきた感はある。忍の生い立ちに触れるというところは興味深くはあるのだけれど、ちょっと回りくどすぎるというか。撫子のところはコミカルさとテンポも悪くないのだが。
自分が老いてきた、ということとも無縁ではないのだろうけれど。
■ 僕の妻は感情がない
実のところあまり期待とかはなく、なんとなくたまたま見始めたのだけれど、案外よくできていた。
ひとによってはあの姿のロボットに恋するとか気持ち悪いとか思うむきはあるかもしれないが、おそらくはあえてロボット然としたデザインにとどめたのではないかとは思う。人と区別がつかないような見た目のアンドロイドに恋するとかいう話はいくらでもある。そうではなくて、ヒト型ではあるけれど、やはりロボットと判別できる姿であるというところこそ意味があったのかなと。
まあ、細かいことは抜きにしてそういうドタバタ的なところと、ではヒトとはなんだろうといったところまで垣間見せてくれる、そんなところがなかなか全体通してうまく構成されていた。
制作としては手塚プロなのでそれらしいデザインでもあったが、実際の作業はほぼアジアのスタジオにまるまる出していたのではというクレジットだった。そして、それでも内容に即して十分なクオリティーの作品になっていたのはよかった。きちんとしたスタジオだったのだなと。昨今、ひどいところがまだまだ多いので。
難を言うならば、男性キャラクター(特におじさん方面)のデザインがどうにもなじまなくてというのはあった。
■ 小市民シリーズ
氷菓の古典部シリーズ原作者の別シリーズということで、制作こそ京都アニメーションではないが多少の期待はあった。が、原作ままということならば、もういいかなと。
ただの犯罪小説、しかも女子高校生によるという極悪小説でしかなかった。嫌な相手を陥れるくらいならまだしも、自分が描いたシナリオどおりに犯罪を実行させ、あろうことかその被害者に自分がなりすますという悪辣さ。悪党小説でもなかなかない。それでいて平然としているまだ 15 歳とかどんなサイコパスか。
小市民とは名ばかり。
まあ、そういう作品なのだろうけれど、もういいかな。
春、夏ときて秋、冬も来年放送するらしい。しかし、春は一年生だったのに、夏はすでに二年生。秋が二年生ままだったとしても冬は三年生だろうかという、季節が早すぎてそれもつまらない。古典部はよかった。
アニメーションとしては悪くはなかった。実際、現在の京都アニメーションには良作はあまり期待できないので(技術の喪失は著しいだけでなく、能力の喪失も)その点は補ってあまりあった。とはいえ、氷菓と比べるとやはり見劣りがする。まあ、あちらがよすぎるというのはあるのだろう。
■ 菜なれ花なれ
今期三作も出していた PA Works のひとつ。ほかは興味がなかったりで見なかったが、これはちょっと興味を感じたので結局最後まで見た。ただ、パルクールアニメみたいに当初言われていたのにさほど関係なかったのがなんだかもったいない。結局チアリーディングの話だった。
さらには色彩設計が原色バリバリのけばいもので目がチカチカしてしまってそこはどうにも。ポルトガルとかラテンというのを意識されたのかもしれないけれど、ちょっとやりすぎた感は強い。
一方でポルトガルというと帰国子女の役を演じた武田羅梨沙多胡さんの演技はとてもよかったし、ポルトガル語監修をお母さんがされたということで毎回クレジットされていてそれもよかった。
話としてはそんな説教くさくしないでもっとおおらかでよいのではと思うのだが、どうも PAWorks オリジナルはこだわりすぎて重い。ヒットというには物足りない作品だったかなとは。最終話はとくに唐突すぎて。
■ 魔導具師ダリヤはうつむかない
原作の評判は高いらしい。が、アニメーションは相当予算を抑えていて国内ではとても作れないレベルだったとしか思えない。クレジットを見てもそうだが、韓国・中国・東南アジアあたりのまだ未熟なスタジオでのほぼグロス制作だったのではという様子。
おかげで物語そのものは悪くないのだけれど(異世界転生ものらしい多少の難は置くとして)作画とかアニメーションとしては、いろいろとダメさが多くてややげんなり。
わけても人物にかかる謎の斜線影。本編だけならいざ知らず、オープニングでも存在しているのだから質が悪い。
あくまでも推測にすぎないけれど、監督はじめ主だった日本人スタッフというのは名前だけであまり関与されていないのではなかろうかと。「お名前だけ貸してください」くらいな感じがしたりするが、実際のところは知りようもない。
なんにせよ、原作者が気の毒なくらいではあった。物語は悪くなかったのだがなあ。
■ NieR: Automata ver.1.1a 2 期
ゲームのほうをプレイしたのもあって少し理解が深まった。当初ゲーム内のムービーみたいでこま切れだなあという印象だった。もちろん最後までそういう雰囲気はあったわけだが、少し理解が変わった感もある。
C D エンドでもなくきちんと E エンドへとゲームのような演出でもってきたあたりはよかった。もっとも、正直なところ、むしろその先のほうが見てみたいと思うのだが。
アニメよりもゲームをプレイするほうがよいぞと強くすすめておく。
■ 負けヒロインが多すぎる!
三人のメイン少女の負けっぷりをじっくり描いて終わった。いや、恋愛できないから負けってわけじゃない。
ギャグの感じといい、演出の感じといい、実にしっかり作られた作品だったので、12 話でおしまいというのは少しもったいなかったか。
とはいえ、続けたとしても似たような話の展開を繰り返すだけだったりするのでほどほどがよいともいえる。そうした繰り返しの学園コメディというのはたしかに存在するけれど。しつこすぎてもつまらなくなってしまう。アーリャさんのように。なのでこれくらいがちょうどよいのかも。原作は続いているようではあるけれど。
■ 逃げ上手の若君
さすがのクローバーワークス。業界内の人に言わせるとテレビシリーズのこのクオリティ出しちゃダメだろ、それは劇場版にとっておけと言い出すわけだが、4K の時代その差異はなくなりつつあるのではという気はする。
まあ、美麗な作画と一体化させた映像美はみごとなもので、そこへ頃合いよくはいるギャグとシリアスとが絶妙で一気にもっていかれる、そういう作品。一種独特の表現もまた多いのだけれど、これは原作の味というのをそのまま活かしているのだろうか。
オープニング、エンディングの軽やかさといい、本当に娯楽という感じ満載の作品だったが、やや半端なところで終わってしまって惜しい感じがしたらほどなく二期の発表があったので、あるいははじめから分割二クールという予定だったのではとも噂されているようではある。
なんにせよ、もう少し堪能したい作品なので喜ばしいこと。
最近のコメント