「魔法科高校の劣等生 横浜騒乱編(上・下)」読んだ

 これまた少し前に読み終えたところ。一期のアニメで見ているのでおよその内容はわかっているものの、細かなところでカットされていたところがあったりで、そのあたりも面白い。

 そして、どれもだいたいなくても成り立つし、前後で補完する場面もあったりでうまく取捨選択しているのだなとあらためて思う。

 唯一、これはアニメではわかりにくいなと思ったのは、ヘリコプターで避難というあたり。最後に残っていた学友を乗せて飛び立ったところで、真由美がほのかに「無理しなくていいですよ」的なことを言うのだが、アニメだと単にかかる事態を受け止めきれずにつらそうなのでという印象でしかないのだけれど、原作だとここへいたる過程でのほのかの活躍というか役割がゆえに気遣った言葉だとわかる。

 これはアニメの描写だけでは到底わからない。

 といって、このあたりではそうしたささいな描写のカットが多くて、そうしたものを逐一取り込んでいては展開がのんびりした感じになってしまいそう。緊迫した雰囲気を保ちつつ尺に収めていくにはカットもやむなしという感じではある。ただ、わかりにくいというか絶対わからない描写なのでむしろないほうがよかったのではないかとすら思える。

 人員配置とかでもアニメとは異なる部分があったりで、このあたりどちらがよいとも言い切れないものの、確かにそのほうがしっくりくるというのはあるのかとあらためてアニメの完成度については思ったりする。もちろん、それは個人によるのでカットや変更はおもしろくないと感じる人もあろうけれど。

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「青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない」(青ブタ 13)を読んだ

 さすがはライトノベルというわけでもないが珍しく二日で読んでしまった。楽しみにしている作品であることや、文章がこなれているので読みやすいとか、比較的短文が多いので隙間も多いとか、まあいろいろ理由はあるだろうけれど、面白く読んだことは間違いない。

 そういえば前作の最後に麻衣さんと温泉デートになんとか行けたというところだったかと思い出し、ここ数作でキーワードになっていたミニスカサンタの霧島透子(きりしまとうこ)の結末となるのだなと。

 意外と半分ほど読んだところで、これで解決するのかと思わせておいて、さすがに残り半分あるのにそういうことにはならず、最後の最後までお楽しみは残していた。ただ、これまでの作品から思うとやややっつけな解決な感じがしないでもないなあと。すでに本来の自分である岩見沢寧々であることを忘れてしまうまでになっていたのに、それもかたくなにそうであったのに、とくになんということもない展開で一瞬にしてそれが氷解するのは、ちょっと都合がよすぎたかと思わないではない。

 まあ、物語なんだからそれでいい、とはいえる。

 麻衣の危機を救い、無事に運転免許証も取得したというところで終わりだが、どうやらいよいよ最終章ですと書かれているので、この物語も残り何冊かで完結ということになるのか。

 すべてすっきりさせて終わるのか、余韻というか不穏を残して終わるのか、楽しみなような不安なような。それでも、最後を見届けますかね。可能なら完結後アニメ化のほうも完結まで行ってくれるとよいなあ。

 

 

青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない (電撃文庫)

 

 

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「青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない」読んだ

昨年夏の終わりころだったかに劇場版新作(そのときはまだ公開形態については明かされていなかったけれど)の発表と一緒に原作新作の発表もあったと記憶している本作。先月の発売直後に買ってはいたのだけれどしばらくしてようやく読んだのは月末近く。なにやら内容てきにはちょうど 12 月はじめからクリスマスまでという時間経過で、なるほどそういうのもあってこの時期の発売だったかと思ったり。

まあ、麻衣さんの誕生日でもあるし、それにからめたイベント放送もしていたのは 12 月のはじめのこと。

これまで「プチデビル」とか「ロジカルウィッチ」とかいうタイトルをつけていたのに、今回は「マイスチューデント」とちょっとそっけないものではあったので、いよいよ疲れてきたのか、などとも思ったりはした。

思春期症候群の症状や原因については、今回は少し弱い感じはした。塾講師をはじめた大学生の咲太を指名して生徒になっている母校の一年生女子の謎を解くというのが今作なのだけれど、最後はややあっけなく解決という感じではあって、むしろこれは次の透子(とうこ)の物語への導入でしかないのかという感じもする。

もちろん、構成とかはしっかりしているので、物語を十二分に楽しめるのは申し分ない。謎の部分が少し物足りなく感じるのは、むしろ長いシリーズがゆえのこちらのわがままなのかもしれない。

どちらかというとプチデビル古賀さんのときよろしく、またぞろ年下の女の子を(人間として)おとなにしてしまった咲太の罪なことよ、と。

それにしても、毎度毎度さらなる謎への布石がちりばめられていて、この話どこまで行ってしまうのか。完結としての落としどころって、もう思春期症候群に悩まされることがなくなって、麻衣さんと結婚してという展開になるまでなのかしらねえ。仮に、なにも解決できないままながら、それなりに幸せな日々が描かれるなら、それはそれでよいのか。

今年以降に公開予定という二作品はいずれも劇場版。まだ時期については明示されていないので、おそらくひとつは今年の夏くらい。もうひとつは来年の春から秋くらいというところだろうか。原作ストック的にはまだ余裕はあるのでできればテレビシリーズでじっくりというのを期待していたのだけれど、まあ、仕方ないですかね。

ということでアニメのほうは円盤が出るころまでは待つようになるかな。

 

青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない (電撃文庫)

 

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「SF マガジン」2022 年 10 月号を買った

タイムラインに高千穂遥さんのツイートが流れてきて、スタジオぬえ創立 50 周年記念特集というので、すぐに予約しておいた。

久々の SFM。

スタジオぬえの関係だけをさくさくっと見ただけなのだが、少し物足りない感じがしないでもない。

昔から知っている者にとっては、スタジオぬえは SF の集団という印象でしかないのだけれど、最近だとそういうことは知らないのでアニメの集団という印象なのだろうか。

かつてスターシップライブラリイシリーズを揃えたくてバックナンバーを注文したりしたこともあったが、結局全部は無理だった記憶。「ASCII」とか PC 系雑誌は処分したけれど、「SFM」はじめ SF 雑誌は残してあるので、スタジオぬえが表紙絵をはじめて担当したというやつも見覚えがあるので箱の中にあるはず。

ということで小説のほうはどこまで読むかは、さて。連載とかあるのでなあ。ま、気が向いたらぼちぼちと。

 

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「魔法科高校の劣等生 5 夏休み編+1」読んだ

アニメを見て気に入った口なので、今頃のんびりと原作のほうも読んでいる。

今回は九校戦と横浜騒乱編との間のインターミッション。夏休みのアラカルトといった趣で、おおまかにいえばサブキャラクター数人に焦点をあてて小さな物語を展開。

とはいえ、その後に関係してくる部分もあったりはして、先の物語を補完するようなところもあったりして、それはそれでなるほどと面白い。

まあ、相変わらず多少特徴のありすぎるきらいの文章には、難を感じないわけではないのだけれど。

仮にアニメ化するとしたら OVA あたりが適当なのかもと思いつつ。

なんとか三期となるテレビシリーズ(追憶編をどうとらえるかというのはあるが)の前に来訪者編あたりまでは読み進めたいところではあるけれど、読みたいものはたくさんあるので、さて、どうなることやら。

 

魔法科高校の劣等生(5) 夏休み編+1 (電撃文庫)

 

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「火星の人」(アンディ・ウィアー)

三年以上前に購入の電子書籍版をようやく読了。読み始めてからはそこそこ(近年の自分としては)早かった。寝る前読書とはいえおおむね二週間くらいだった。

話題になったのに読んでおらず、いまでは同じ著者の別の作品が話題になっている始末。そちらを読むのはいつになるやら。

映画化もされていて、たぶん映画も見ていないような気がする。断片的な映像は覚えがあるのだが。

簡単にいえば有人火星探査チームから不慮の事故によりただひとり火星に残ることになってしまった宇宙飛行士のサバイバル。帰途についた宇宙飛行士たちは、彼が死んでしまったものと思っているので(地球のチームはしばらくして彼が生存していることを知っていたが、帰還チームに知らされるのはかなりたってから)やや自責の念にとらわれている。

一方、火星に残されたワトニーは、なんとか知恵と工夫でサバイバルを緻密に進める。この過程が実にリアルにせまるもので面白い。昨今、フィクションで描かれた宇宙が実際のそれと大違いすぎてつまらないといった話が話題になってしまったけれど、このサバイバルがどれほど現実的なのかは知りようもない。ことによると嘘ばかりということだってあるだろうし、けれどこれはフィクションなのだから。

フィクションとはいえ、実に真に迫る描かれ方で、これは素人が読んで、見て楽しむには十分すぎる内容だ。あまりに緻密すぎてむしろ詳細を検討したりする意欲をそぐ。

そして、何度となく危難に遭遇しつつも少しずつ帰還へ向けて動いていく様が火星と地球とで描かれていくテンポも実によい。いかにも映画に向いている。あるいははなからそういう脚本として書かれたものだったりするのだろうか。残念ながら電子書籍版というのは、あとがきとかいっさい省かれてしまっていて本当に意味がない。そこだけはどうしようもなくダメだ。

最期まで息つく暇もないほどの展開が続いて、まさにエンターテインメントという感じで、これを映像で見たらそれはまた面白かろうと。機会があれば映画のほうも。

 

火星の人

 

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魔法科高校の優等生 1-3

安くなったのとかあって入校編分の残りをまとめて購入。

しかし、こうしてみるとアニメの基本ストーリーは、おおむね原作漫画の要素を持ってきているのではあるのね、とは。部活勧誘場面であるとか、達也を狙う何者かを捜索するところとか、改変されているところや使っていないところとかはあるのだけれど、大筋としては。

もちろん、極端すぎるエロ要素は脚本家の趣味全開以外でしかないと確定するわけではある。

深雪が着替えに悩むところは漫画ではエクストラエピソードでしかなかった。

で、そもそも漫画のほうのセリフとかが、原作小説に必ずしも準拠してないというのがあちこちあって、そのあたりは原作者も許容していたのかというのは、もはや別物だからという割り切りだったのか。

であれば、アニメの改変もまた「あれは別物」と割り切っているのかもしれない。実際のところはわからないけれど。

また、壬生先輩についても、ほとんど洗脳されてロボット状態だったみたいな描き方になっていて、それはどうなのだろうとは思うのだが、原作組みファンはあまり否定的なことを言わないので許容されているのかなあと。

というわけで、自分としては、あまり惹かれない作品ではあるなあと。

 

魔法科高校の優等生(1) (電撃コミックスNEXT)

 

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「たんぽぽ娘」(ヤング)

単行本がでたころに気になっていたのだけれど、そのまますっかり忘れてしまっていた。この頃なにかのきっかけで出会ったので、いや、思い出したバーゲンブックにでてきたのでこの機会に買おうかと見ていたら文庫もあってそちらでよいかと半額になっている単行本ではなく文庫を買ったのだった。

で、読んだ。

表題作「たんぽぽ娘」は実によい。確かにメリルが惚れるのもわかるし、伊藤典夫さんが惚れるのもわかる。実によい味。

で、全体として思うのは、ファンタジー系の作品はよい味を持っているけれど、それ以外の作品はどうもあまり好きになれないなということ。なんだろうな。小難しい言葉をつらねたら SF? みたいな感じがしてしまう。

対して「たんぽぽ娘」をはじめとしたファンタジー系のものは、小難しいことはいっさいなく、仮に科学的に設定を検証したらいろいろ矛盾とかあるかもしれないが、そういうことを感じさせない物語のよさというものがあるというか。柔らかく平易な文章でつづられる物語の最後に、あっと思わせるなにかが待っている。

それは、時間 SF 特有のものかもしれないけれど、そこでハードな設定云々を言い出すと物語としての面白さを損ねてしまう。あくまでも物語として素直に楽しむべき作品たち。そういう作品こそヤングの真骨頂なのかなと。

ということで、好みにあうのはわずかではあるが、ヤングの世界を知る一助ではある。次の短編集という話にも触れられてはいるものの、すでに 10 年あまり経過しているので、なかなか難しいのかもしれないかな。

 

たんぽぽ娘 (河出文庫)

 

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「ネクサス」(ラメズ・ナム)

2018 年だったかの電子書籍半額セールでついあれこれ買い込んでしまったものの消化がまたひとつ終わった。上下巻になっていて文字サイズの大きさにもよるのではっきりはしないものの、おおむね印刷されたものであればそれぞれ 300 ページちょっとずつという感じの長さ。意外にも長さはさほど感じずにサクサクと読めてしまった。確かに、面白かった。

タイトルとあらすじから選定したのだと思うけれど、意外とはずれではなかったという印象。訳者のあとがきにもとくに触れられていないものの、多分に「攻殻機動隊」の影響を受けているというのはあるのではないか。電子書籍版では省略されてしまっている解説にはなにか触れられていたのかもしれないが、カットされているので知りようがない。これは、大いに不満。

ネクサスというマイクロマシンを服用することで手軽に電脳化できる技術をめぐる物語なのだが、そこで行われる電脳通信はまるっきり「攻殻機動隊」のそれといえる。あろうことか脳内でプログラム開発までできるというありさまで、そこまでいくとどうなっているのかというのはある。マイクロマシンそのものがどのようなものであるのかという詳細な記載は残念ながらない。

ただ、現状行われているこうした電脳化技術の研究の最先端情報をもとにしているというのは事実らしいし、実際そうしたニュースをいくつか目にしたこともある。おおきな事故で障害を負い、それを補う必要から電脳化、あるいは「攻殻機動隊」でいうところの義体化が実験されるのは、よりよく生きるためのひとつの明かりなのだろうとは思う。

ただ、ここまで意識同士の統合というか操作まで簡易におこなえてしまうというのは、やはりまだまだ非現実的。だからこその SF ではある。

という意味で、ちょっとお安いハリウッド映画的な物語といえる。ゆえに、これが映画化されたら、そこそこ楽しめる SF アクションサスペンスといったものになりそうだ。アクションにバイオレンスに、ちょっとお色気に、人間ドラマまで網羅している。ちょっと大風呂敷を広げすぎているきらいがないではないものの、ハリウッド映画ならそういうものと割り切れそう。

ただ、その場合結末は少し変えられるのではないかとも。ケイドとサラは別々の道を進むという最後になるけれど、ここはきっとふたりが手に手を取ってという感じになりそう。

娯楽としては十分に堪能できるので面白い。

ただ、先にも書いたけれど、訳者あとがきでも触れている解説がカットされているのが不満だ。そこを読まないとこの作品の真価に触れられないようなあとがきなのに。「読みたかったら紙を買え」というのであれば、もはや電子書籍なんて出す意味がない。

がっかりだよ、早川書房。とは、思う。まあ、今後も電子書籍で買うのは漫画だけになるだろう。このときの一時の気の迷いが悔やまれる。とはいえ、面白かったのは事実だけれどね。わざわざ紙で買いなおす気にまではなれない。

 

 

ネクサス(上) (ハヤカワ文庫SF)

 

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「青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない」

シリーズ 4 作目は、はれて恋人となった麻衣さんの妹でかけだしアイドルの回。大好きだった姉なのに次第に同じ芸能活動をするうちにいつしか比べられていると感じてしまい、なにかとそつなくこなす姉・麻衣への引け目と嫉妬を感じてしまう妹のどか。そんなこんなが高じてか、家出のように姉のところに泊まりにきた翌朝、気が付くとふたりの姿形が入れ替わっていたと。

やむなくお互いに相手のふりをして生活することにするも、麻衣のほうははじめてのこととはいえ、努力でなんとかこなしていってしまう。妹のほうはといえば、むしろプレッシャーにおしつぶされそうで、CM 撮影で撮影中止を起こしてしまう。

お互いに本当は好きだし、尊敬もしているのにいまひとつ素直になれずにわだかまりを消せない。結局、咲太が間にはいるような形にならざるをえずに、それもいささか不条理な応対で。

再婚相手の子ということで異なる母親をもつふたりのわだかまりの原因や、それをとかしていく過程がいじらしい。わかっていてもなかなか行動に、ことばにできないのが人の常というもので。

そして次はシリーズでも屈指の切ない回へと。

 

青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない (電撃文庫)

 

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