「巨人たちの星」再読
ようやく三作目。当時としては三部作とされて、これで一応終わりのはずだった。とはいえ、訳者としても、内容としても少しつづきを残した終わり方なのでいずれはという感じはあったのかもしれない。実際、のちにでたわけだ。
前の二作に比べて圧倒的に分量が多く 460 ページあまりある。ところが、巨人たちの宇宙船が向かった巨人の星方面との交信に絡めての話が延々と続く。種族も急に色々増えてしまい、実のところよくわからなくなる。おおざっぱにいえば巨人たちのほかに月で進化した人類(地球人と同類)が地球に行って地球人となったが、そこから分かれて同じような種として別の進化をとげて巨人たちと肩を並べている種もあるらしい。さらに、ミネルヴァを破壊したように地球人は粗暴で危険な種なので監視が必要だということからかれら(地球種別人類)が監視を行っていたと。
しかも、科学技術ははるかに進化していて、現地にいなくてもそこにいるかのようないわばバーチャルの交流・通信が可能。またマイクロブラックホールを使った瞬間移動が可能になっている。
で、なぜか巨人たちには地球人は軍事力を増強していてまたぞろ危険な行動にでそうであるから排除したほうがよいといった報告をあげているのだが、なぜそんなことをしているのかが不明。しかも、どうも地球にも彼らの仲間がいるらしいということはわかってくる。
一方で、独自に巨人たちと通信を行って秘密裏に会うことに成功するハントたち。という展開であれやこれや政治的なこととかで延々と 300 ページすぎまで続く。ちょっと疲れる。
360 ページあたりからにわかに動きだして、地球人にまぎれて監視している地球種別人類が暗躍していることがわかってきたり、さらには武装はないがはったりで反撃しようとしたり。最終的には彼らは逃げようとしてなぜか過去のミネルヴァに到達してしまうという展開。しかも、当時のミネルヴァのありえない技術進化はこのためだったとかいいだす始末で、さすがにそれはちょっとという感じの展開になってしまった。こういう鶏が自分自身となる卵を産んだみたいなネタにしてしまうのは筋がよくないと思うのだけれど。いや、多少読み飛ばしたのできちんと理解してないだけなのだろうか?
いずれにしてもそこで終わる。当時の三部作。つづきは、当然あるよねえという終わりではあった。ということで「内なる宇宙」へとようやく進もう。
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