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「厳寒の町」読んだ

 ようやく文庫の最新に追いついたアイスランドミステリ。しかし、正直なところ今回はあまり好ましくはない。

 というのも事件の背景になる社会問題が重く描かれてきたにもかかわらず、どうにもそれとは関係のない結末が終盤も終盤になってふいに現れるというような展開で、これまではいったいなんだったのだと思えてしまうから。

 さらには、事件に絡むのかといういくつかの問題がでてくるものの、ほぼあやふやなままメインの物語が終わってしまい(それも唐突だが)、あれはいったいなんだったのだ、と。

 次回作への布石、ということもあるのかもしれないものの、どうにもしっくりこない、すっきりしない。ただただ、凍てつく寒さだけが強調された作品だったなあというのが素直な感想。

 やたらとエリンボルクら捜査チームといさかいのような展開が増えるし、それもどうにも違和感が強くてよろしくない。うーむ。素直にいえば別人が書いたのでは、と思えるくらい。

 当初のあの勢いはどこへ行ってしまったのか。重厚な物語の展開。畳みかけてくる迫力はどこへ行ってしまったのか。どうも今作はこれまでと違って過去からつながるという展開のない作品だったがゆえに印象が悪いのではともいえるが、やはり別人が書いたのではないかなあ。

 次作以降もこうならばそろろそ見切るかもしれない。

 

厳寒の町 (創元推理文庫 M イ 7-5)

 

 

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