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「甲鉄城のカバネリ」を通して見た

 噂というか名前は聞いていたけれど見たことはなかったので今回全 12 話を見た。ようするに和製ゾンビものと、マッドマックスばりの列車が生活基盤(そこで暮らしている)という世界(のすべてではないものの)のはなし。

 江戸時代的な世界だけれど、機械文明も発達していて、少なくとも蒸気機関についてはかなり発達していて、列車はもちろん、各種エネルギー元として利用されているという感じ。特殊な銃も発達。さらには、あやしい人体実験的な科学の発達も。

 ゾンビとはいわずにカバネというのは、屍からきているのだろうなとは思うけれど、半分ゾンビ化した人をカバネリと称しているので、声優さんの発音によっては聞き分けが難しくて、ときどきはてなな感じになってしまう。

 舞台装置としては進撃の巨人のそれと類似していて、カバネの集合体はさながら「もののけ姫」の祟り神のそれ。あちこちの世界観やら設定やらをいただいてきてという二番煎じ的な印象が強くてちょっとという感じではあった。

 久々に美樹本晴彦のキャラクターデザインで、ああ、こういう女の子を描いていたよねというかわいらしさは健在。

 冒頭はそこそこ面白く見ていたのだけれど、あにさまといわれる将軍の息子部隊がでてきたあたりからちょっと話が矮小化されてしまい、結局親子の確執だけを収束させて物語は「おれたた」エンドで終わってしまう。

 化け物となってしまったはずの生駒がなぜ生きながらえているのかとかもよくわからないままであるし、とりあえず甲鉄城(という名の機関車)が逃げ出したというところで終わってしまう。いろいろ物足りない。

 極端にいえば、どうせ if の江戸時代もどきの世界を作ったのだから、思い切っていろいろ片づけてしまったところで文句は言われなかったとは思うので、親子の確執なんてところではないところの話にしたほうがよかったのでは。でなければ、もう 1 クール用意してもう少ししっかりしたところまで描ききるべきだった。

 最近、きっちり描き切るということをアニメはすっかりしなくなったので、悪い癖がついている。原作があり、まだ完結していない場合にやむを得ず独自のエンドを用意するというのもわからないではないが、そうしてつまみ食いばかりして良作を食いつぶしていくという昨今の悪癖はいい加減滅びるべきだ。

 どうせやるならきっちりやれ、と。

 オリジナルであるなら、なおのこと。どうとでも作れるのだから。業界全体の猛省が求められるこの頃。

 

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