2023 年冬アニメの見たもの記録
■ お兄ちゃんはおしまい!
文句なく一番よかった。ひきこもりのお兄ちゃんが、優秀な妹の作った薬によって女の子にされてしまうという設定はいかにも漫画的発想ともいえるけれど、その大嘘を細かな設定や展開や演出がきちんと支えていて、「まあ、そういう世界があっても面白いかもね」と思わせてくれるという実にすぐれた作品になった。
まあ、横手美智子さんというところでもうそのあたりは約束されたようなもの。女の子になってしまったお兄ちゃんのとまどいやら、はじめて体験する女の子の生活をまじえてひきこもりだった自分が少しずつ外にでていくきっかけをどんどん広げていく様が物語としても実に見事で、最後にはうっすらとうれし涙すら浮かべてしまいそうな作品。
絵柄のかわいさと、演出のよさと、妙にこだわりすぎないアニメーションであるとか。それでいて作品作りとしては随所に工夫も凝らされていて、そうしたところもまた楽しさのひとつ。
続きを期待する声も大きいようではあるけれど、十分に完結しているので、これ以上ひきずらないというのもまた正解なのかとは。
■ 便利屋斎藤さん、異世界に行く
はじめのうち数回は四コマ漫画的な作りがそれなりに面白く、いい加減食傷気味な異世界転生ものではあるものの、やや新鮮味もあってよかった。
が、途中からちょっと物語性を重視した展開にしはじめてからは、作品にちょっと合わない感じが強くなってしまった。そもそもが四コマ漫画的なものだったのに妙に感動物語的な展開や設定が急にでてきてしまって、どうもしっくりこない。最後まで四コマ漫画だったらもう少し素直に楽しめたろうか。
■ Nier:Automata Ver1.1a
この冬の作品に多かった中国スタジオの新型コロナウィルスによる壊滅状態のあおりをもろにくらった作品のひとつ。放送の延期をたびたび起こして結果しばらく先になるらしくまた中途で終わっていない。
作品そのものもゲーム世界の説明動画という体で、今ひとつ面白みにはかけるかなあと。そもそもの設定に無理というか、興味がいまひとつのらず、ゲームのための設定だけで物語としてはさほどよくない。ゲームスタッフがきちんとした物語を作ろうとしても、その域にはなかなか達しないという感じなのか。作画の美麗さだけはさすがという感じ。
■ 虚構推理 season2
たまたま見ただけなのだが、どうにも推理ではなくなんでもお見通し的な一方的な展開が急にでてくるのもあり、今ひとつ面白みを感じなかったのでやめてしまった。「夏目友人帳」とかみたいな感じならばそれはそれでよかったのだが。
■ スパイ教室
前評判は異様に高く、原作のイラスト担当のトマリさんの絵は以前から好きではあったので見ては見たものの、物語としてはあまりに稚拙すぎて途中でやめてしまった。
教室というにもお遊戯くらいでしかない展開で、SF 的な特異能力を駆使してというのではどうにも面白さに欠ける。優秀らしいのに銃撃の演出があまりに素人で見るに堪えない感じだったりとかもあって、原作はわからないものの、かわいい女の子が出てきてワイワイしている作品でしかない印象が。
■ もういっぽん!
あまり期待せずに見た一話がなかなかよかったので最後まで見た。アニメーションの技術的なところで言うとレベルはかなり低い部類になってしまう印象なのだけれど、物語そのものはそこそこよいのでなんとかみられる。いや、物語そのものは悪くないし、もう少しアニメーションががんばれるともう少し話題になったかもしれない。そこは残念。
予算やスタッフの力量とかいろいろ制約はあったのだろうなというのはあるけれど、もう少し基本的なところをきちんと確認して作っていたらなあという場面は少なくなかった。これからの課題としていかしてくれるとよいなあ。
■ トモちゃんは女の子!
初回だけは見たのだけれど、どうにも設定とか演出とかが合わなくてやめてしまった。そこそこ評判はよかったようなのだけれど。あわないものは仕方ない。すまぬ。
■ ツルネ ーつながりの一射ー
前回からのつづき。変わらぬ調子で一区切りまできているのは安心感というか、さすがというか。
さわやかにまとまっているし、丁寧に作られているので見ごたえは十分なのだけれど、悪くいえばさらりと流されてしまって記憶に残らない作品ともいえるのかも。
好きなんだけど。
人物とか設定とか、この先も見たいと思う気持ちと、十分まとまったからこれでいいんじゃないのか、という気持ちと半々。
■ アルスの巨獣
初回に感じた、「ああ、これはどうやって終わらせたらいいかなにも考えていないタイプだな」が現実となった作品。
金だけはあるからなのか、面白そうと感じた設定をとりあえず作ってみたけれど、その先どう収めるかなんて決められなくてぶん投げたままで別にいいじゃんという姿勢で作られている。中国資本のわがままで作ったのかな。
昨今、この手の作りっぱなし作品が増えていて、お金も労力もどぶに捨てているだけで非常に嘆かわしい。
■ あやかしトライアングル
こちらも中国スタジオ壊滅による影響をくらって放送延期になったまま。自主規制が強すぎて円盤では解除するのかしらというのはあるけれど、ちょっと気にしすぎなのではという感じがなくもない。
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