「やがて君になる 全 8 巻」を読んだ
アニメでは生徒会劇の練習までで終わってしまい、「いや、ここからがいいところでしょ」という感想を誰もが持ってしまうので原作全巻を読んだ。
もっとも、アニメ化は連載がはじまって早々のことだったようでもあり、連載中だったためにそのあたりで終わるしかなかったという悲しい事情もわかる。とはいえ、さすがにそこで終わってしまうのかあ、という嘆きというか冷や汗というかは拭い難く。
原作 5 巻途中あたりまでが、どうやらほぼ忠実にアニメ化されたという感じで、その後劇が行われて侑の提案も含んだあらたな結末を描くものの、ひとり七海はそれを受け止めることができないまま侑との距離をはかりかねてしまう。
ラストはやや端折った感じの展開にはなるものの、おおむねすべてがハッピーエンドを迎えたという終わりであって、やはりここまでアニメにしてほしかったなという思いをより強くする。
さすがにテレビアニメ 12 話というにはやや短いので、難しいところもあろうけれど、原作者と相談のうえでオリジナル回を少しいれるくらいなら十分おさまるのではなかろうか。OVA とか劇場版にしてというのもあろうけれど、これでも二作分くらいは欲しいのかという印象はある。やはり終盤の時間がとぶあたりを少しオリジナルにして 12 話というのが理想なのかなあ。
物語の出だしは、「百合? 百合なの?」という感じでゆりゆりして始まるくせに、次第に「これって百合だったよね?」という展開を見せ、やがてタイトルの意味を理解するあたりになると、「これは百合なのだろうか」と思うにいたらせておいて、ドーンと最後にぶちかますという見事な展開。
優秀な姉を死なせてしまった責任を感じて、優秀な姉を演じ続けることだけを生きがいにして生きてきた燈子が、自分自身をようやく手に入れるまでの物語。百合の振りをしながら百合ではない、けれどれっきとした百合漫画。
ああ、本当あそこまで素敵なアニメにしたのだから、最後までアニメ化して欲しいというファンが多いのもうなずけようというもの。とはいえ、そのままラストを描くのは多少難はあるのかも。OVA あたりならば。
ああ、ああ。
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