「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編・後編」を読んだ
ようやく「響け!」シリーズの久美子二年生編を読んだ。
これまでは劇場版「誓いのフィナーレ」「リズと青い鳥」でしか知らなかった部分をようやく全体を通して知ることができた。二年生編はテレビシリーズがなく、ふたつの劇場版で終わってしまっているので、さすがに双方にからむような部分がごっそりカットされていたりで、いろいろもったいない感じが強い。
それぞれがそれぞれにまとめるために多少の修正をしてしまっているので、なんだか物足りない。「リズと青い鳥」の希美とみぞれの関係の修復についてもそうであるし、奏をめぐる低音のあれこれも深みが足りない。
もちろん、それぞれの作品として十分にまとまりはとれているものの、原作を読むとようやく腑に落ちる部分が少なくない。サンフェスにいたる過程もそうだし、夏の合宿もしかり、束の間の休息のプールの話とかも決してインターバルなどではなくて、それぞれの関係のために必要な部分が少なくない。そこをカットしてしまって大団円に持ち込んでもどうにもおさまりがよくない。
トランペットの夢の件もマネージャーに専念することになる先輩にしても、さまざまなことがそれぞれに食い込んでくるのに、そこがなくなってしまうとやはりどうにもおさまりがよくない。
仮にこれがどちらかひとつということだったらそのあたりも加味したものだったかもしれないものの、それぞれに分かれてしまったがゆえに変な齟齬を生じないようにあえてまったくばっさりと切ってしまったかのようで。
いろいろもったいないエピソードも多いので、すでに三年生編がテレビシリーズで制作されているようではあるけれど、二年生編もテレビシリーズでやり直してくれたらよいのだがなあと思うのは、少々贅沢な希望だろうか。
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 (宝島社文庫)
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編 (宝島社文庫)
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