「せんせいのお人形」 8 巻(最終巻)を読む
いよいよ最終巻。4 巻以降で紙書籍がないのは残念ではあるが、どうしようもない。
内容としては当初から予想された結末にほぼ落ち着いている。とはいえ、最後にちょっと重めのトラウマを持ち出すあたりはなんというか。それでも割とあっさりと解決されるのは、すでにして二人の関係性が一定程度成熟しているがゆえかもしれない。
また、結末としても予想されやすいところではなく、少しひねったところから導入したあたりは好感が持てる。ただ、それがあまりにも先走りすぎて終盤までどういう状況なのかよくわからないのが難点とはいえる。そこで名前はでても顔がでてこないのはなぜか。そういうのはある。
読後感はよい。確かによい。ただ、前半の雰囲気と後半の雰囲気の違いが少し違和感として残るというのはある。最初はひたすら不遇な少女にさまざまなことがらを与えて(教えて)いって新しい自分を見出していくテーマだが、後半はひたすらにふたりの恋愛に主眼が置かれてしまう。少し物足りなさはある。
そして、あまりにも予想された結末(大局的な意味で)へとひた走るのもぶれないと言えばぶれない安定だけれど、もっと違うところへもっていくのかと思っていただけに少し物足りなさを覚えてしまうのはわがままか。
とはいえ、久々によい作品を読んだのもまた事実。yugui さんの Tweet がなければ知ることもなかった。感謝。
余談としては、4 巻以降電子書籍のみになったのには、紙書籍での売り上げ見込みというものはあったのだろうなと。人気は確かにあったので紙書籍もよい売れ行きではあったろうと思うが、爆発的といえる作品ではないだろう。さらに縦スクロール漫画という障壁もある。ページを作るために全部再編集が必要になる手間、淡いとはいえカラー印刷となると印刷代も高くなる。事実 1000 円近い価格だ。今後、こうしたウェブ漫画が紙書籍はもとより電子書籍という形になることすらも危惧されるのが現実かもしれないかな。
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