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2021 年夏アニメ見たもの

久々に見たアニメのまとめを。2021/7-9 期。

■ヴァニタスの手記(カルテ)

 シリーズ構成が赤尾でこさんというので期待を持って見たのだけれど、原作もののサガでもあってかいろいろのネタを展開しただけで終わってしまうという残念さが。2 クールあればもう少しまとまりがでたのだろうけれど。

 ちょっと目先の変わった吸血鬼ものという点では、おもしろそうに思ったし、事実なかなかよいはじまり方だった。キャラクターも申し分ない。原作ものの場合、やはりきりのよいところをしっかり探って必要であれば 2 クールやるとかしないとダメだなと。時間をおいて続きをやるとしても少し興ざめだ。

 

かげきしょうじょ!!

 この夏で最高のできだったと思う一作。宝塚をモデルとした歌劇学校へ入学を果たした 40 人の年齢もさまざまな女子たちの成長を描いていて毎度泣かされる。まあ、つまらないという人もあるようだけれど、好みというのはあるとはいえ、残念な人生かもしれないなとは。

 たしかに前半の愛をめぐる物語は少し話数をとって描かれたのでその分ほかにしわ寄せがいったかもしれない。それでも、引っ込み思案な山田さん回ではおねえ先生のことばに感じ入ったし、ツンツンしているように見えた薫回では、一番年長で入学した彼女の決意と、ささやかな青春の思い出に泣かされた視聴者は少なくなかったようであるし。

 それぞれの主要キャラの内面をきっちりと描いていてとてもよかった。おしむらくは 1 クールがためにやや急ぎ足ですべてが展開してしまったこと。原作ファンの方によれば、大事なといえるエピソードやシチュエーションが結構カットされていたらしい。もちろん、尺の決まっているアニメにおいてすべてを取り入れることは無理な話ではあって、それでも十分なくらいにまとめていたからこそ原作ファンの反応もよかったのは事実。

 途中コラボしていた銭湯からのれんが盗まれるという事件もあったりで残念こともあったりはしたけれど、人気の低さと相反して作品の質という点では最高なものだった。タイトルではじめスルーしていたのを、やはりと見てよかった。

 ただ、二期を期待する声は大きいようではあるけれど、できれば一期も含めて 2 クールで作り直してくれたらいちばん良いかなと思う。今回を生かしつつあらたに再構成してカットした部分などもいれて予科性終了までを描いてくれたらと。

 

白い砂のアクアトープ

 「色づく世界の明日から」のスタッフでつくるという期待作で、たしかによかったのはあるけれど、2 クールというのがさてどうなのかと思っている 1 クールの終わり。がまがま水族館という古い水族館の閉館までを描いたのが 1 クール。アイドルをやめて逃げるように沖縄にきてしまい、たまたまがまがま水族館に立ち寄ってそこで働くことになった風花と、がまがま水族館の館長でもあるおじいの孫くくるをめぐる物語。

 いろいろ関係する個々人の過去とかも出してきていわくはあるというのは分かったものの、活かしどころがそうないままに終わってしまったというのもある。

 2 クール目はその後高校を卒業して新設されたティンガーラ水族館に就職したくくるの物語がはじまるようなのだが、正直なところここまででも十分な物語はできたので必要なのかどうなのか。まあ、見てみないことにはなんともいえないわけではある。

 

魔法科高校の優等生

 原作小説「魔法科高校の劣等生」が出版されて? 10 周年という記念第一作という謳い文句で発表されて放送されたのだが、あまりにひどかった。原作はスピンオフ漫画なのだが、どうもそれにそってということはあまりなく、かなり勝手なオリジナルを入れこまれていて漫画原作者にとってはまったく不本意なアニメ化だったのではないかというくらい。

 すでにアニメ化されている「劣等生」と同じ物語の深雪視点をまじえて展開する物語なのだが、そちらとの整合性も無視しているので明らかに歴史が食い違ってしまっている。また、どうやらかわいい女の子をエッチな視点で描くことにばかり主眼がおかれている嫌いがあって、キャラクターの設定すら破壊してしまっている。

 そんなこんなで物語としてもファンには特に拒否感が強かった。そこへ加えて作画のひどさ。カット毎にキャラクターの顔が変わってしまう。アップならましかと思えばそれすらも安定しない。男子キャラにいたっては、もはや誰かも判別できないレベル。キャラクター設定画は存在するのか? それにあわせて描くという行為は存在するのか?

 さらには、背景も手を抜いたという感じのものが多くてまるで実在感がない。止め絵も多く、口パクだけでカットを使いまわす。構図も奇妙なもの不自然なもの、等々、とにかくずぶの素人が作ったのかというくらいのレベル。

 制作はほぼ中国と東南アジアの会社にグロス発注して、出来上がったものを受け取って流したという感じのもの。制作会社として作監などは存在しているが、実質はグロス会社に丸投げだったという感じ。もちろん、中国とかにもいまはすぐれた会社も人材もあるのは確かだが、それはごく一部のことだろう。今回は予算の都合なのか時間の都合なのかは知らないが、あまりにもなげやりな仕事としか見えない。

 それでも「面白い」「よかった」という層もあるのは好みはいろいろということかもしれないけれど、こんな駄作に金も時間もかけるくらいならば、まっとうなものに集約して欲しいというのが素直な気持ち。

 「魔法科の面汚し」とまで言わしめるとは、なかなかない作品。「優等生」については、いずれここにまとめたいと思う。

 

ピーチボーイリバーサイド

 当初、毎回話がつながらないので不思議に思っていたら、放送話数をバラバラにして時系列無視で放送していたらしい。と途中で知った。どうりでいきなり知らない人間と一緒だったり、話が戻っていたりするわけだ。

 で、結局はキャラクターはよいのだけれど(特にフラウの謎さとゆるさは好き)物語としては意味不明なままになってしまったなと。これまた物語の中途で終わっているというのもあるのだけれど、原作ものをアニメ化するときの失敗例のひとつにまた加わったというところ。

 さらにはシャッフル放送になどするからますますつまらなくなってしまった。監督としてはこのほうがよかったという判断だったらしいのだけれど。

 

ぼくたちのリメイク

 スマートフォンのゲーム制作会社に就職したものの、なにもかもうまく行かず、大学進学のときにあきらめずに芸術関係のほうへ行けば違ったろうかと思ったら 10 年前に戻っていたという、典型的なタイムリープラノベ。

 まあ、最初はそれでもと思っていたのだけれど、そこで芸術関係の大学に進学することに進路を変え、先の時代には活躍していてあこがれもあった者たちと共同生活することにもなる。そこで協力して(未来につけた知識や経験をもとに)困難を乗り越えてという展開なのだが、それらが結局裏目にでて彼らの芽を摘んでしまう結果に。

 そして気が付いたらまた時間が進んでいて、さらにまた戻ってくるというところで終わる。謎の幼女先輩がタイムリープを起こしてみせるとかどういうこと? とか、いろいろ謎ばかりでたぶんそれは解決などされることもないのだろう。あまりにご都合主義が過ぎる。

 どうやら原作小説ではさらに何度も時間を行ったり来たりするらしいが、もうなんだかなあという感じで。キャラクターデザインがかわいいのが唯一の救いくらいの作品になりさがってしまった感。時間 SF を安易に使うと面白くなくなる。

 

探偵はもう、死んでいる。

 タイトルがすべて。おそらくはこのタイトルが浮かんでノリで作ったのではと思うラノベ原作。まだ続いているらしく、アニメ化は途中ということではあるのだが、それでもなによりもすでに主人公であるシエスタは死んでいるので、どうにも展開のさせようがない。なにをやっても代替でしかない。

 しかも、設定に無理がありすぎてどうにもこちらもご都合主義がすぎる。主人公が中学生で出会い、三年シエスタと過ごして彼女は死ぬ。その心臓は敵のヘルという男なのか女なのかわからないものに取り込まれる。そして死後、主人公がたまたま高校でであった夏凪という女子生徒の心臓がシエスタのもの。

 つまり、夏凪はヘルである。が、記憶はもっていないとかいろいろ都合よすぎ。

 結局死後の話はそこそこに、かつてシエスタが生きていたころに物語を戻すことになる。このあたりの構成は、どうやら原作小説とは違ってアニメでの構成をした赤尾でこさんの采配のようではあるが、これは間違っていない。全体の印象としてうまくまとめたといえる。とはいえ夏凪にそこまでのキャラクターの魅力がない。

 この先もずっと。シエスタのキャラクターデザインがとてもよく描けていたのが人気の秘密。作画というか動画は、正直もう少しという感じではあった。これもまた新しい会社らしい。小さな新興会社が多すぎる。

 

小林さんちのメイドラゴン S

 2019 年 7 月の事件で帰らぬ人となった武部さんが監督されていた前作への敬意をこめて「シリーズ監督」とクレジットされた作品になった。実際は知らないが、この作品は原作ままというよりは、原作の設定を借りたオリジナルという印象が強いのだが、どうなのだろう。

 ドラゴンが人の姿をして生活するというのは奇想天外な設定ではあるけれど、ドラえもんが暮らしている世界とさほどの違いはない。小林さんをはじめドラゴンのみんなとのかけあいが楽しく、そしてときに優しい。ちょっと重めの展開もあったものの、やさしい世界はそのままだ。

 しばし、しあわせな気持ちに戻れるという意味でも貴重な作品だったのでは。

 

Sonny Boy

 配信ではまだ終わっていないのではあるが、どう見てもまともに終わるとは思えないので。昔 NHK で放送した作品と似たテイストの作品設定だったような感じで、よくわからない異世界というか異次元というかに紛れ込んでしまった生徒たちの物語で、それぞれがなにかしらの異能を使えるようになっている。

 はじめのうちこそつながりのある物語だが、次第にその時々のノリで展開する不可思議な物語の羅列で、どうにも脈絡がない。この世界の仕組みであったり謎であったりといったことは、おそらくなにも考えられてはいないのではないか。だから、元の世界に帰るのは簡単なのだと言わせてみるも、いうだけでなにやらわけのわからない方法をあれこれ試すような展開。

 しまいには物語のキーであるはずの希まで殺してしまう始末で、どうしろと。「ねえ、どうやって終わらせたらいいと思う?」案件なのではないかという印象が。この手の「ツインピークス」とか「プリズナー No.6」みたいな謎を提供するばかりで、そもそも細かい設定など考えてもいないという物語はもうやめて欲しい。

 

東京リベンジャーズ

 2 クール目でひとまず終了らしい。まだ、かつての彼女の命は救えていない。というか、ちんぴら隊にようやくはいったということで終わった。とにかくちんぴらの抗争が延々と続いていて、しかも何度もなんども時間遡行を繰り返していてどんどん歴史を改変しておかしくなっていく。

 歴史改変ものは、本当によくよく考えてから手を出すべきではないのか。安易に考えすぎていないか。途中から正直見るのが苦痛になってきていた。たぶん、一年以上開けてから続きがあるかもしれないが、もういいかなと思っている。

 

EDENS ZERO

 アニメーションとしては、あと数話(全 26 話?)で終わりのようで、物語の完結まではさすがにいけないようだ。連載もしているのかもしれない。珍しく正統的な冒険活劇という感じで、安心して見ていられる。まじめなところもちょっと笑わせるところもしっかり塩梅を考えて作られているので緩急がよい。

 キャラクターデザインもどちらかというとかわいい方向にシフトしているのでソフトな感じが共感を呼びやすい。かわいい担当かというレベッカが意外と活躍するあたりもよいし。

 物語の進み具合からいずれまたアニメ化されるのだろうなと。こういう素直に楽しめる作品に制作はシフトしていいと思うのだが。少なくとも時間的にも体力的に疲弊しつつ、ろくな稼ぎにもならないようなアニメを死屍累々で作るような無駄をしないで、まっとうな作品にだけ集中して欲しい。

 

「白い砂のアクアトープ」だけは終わっていないので次に続いているけれど、秋の作品リストを見たところ、いまのところ見たいと思うものがない。「86」の続きがはじまるのでそれくらいか。

 

TVアニメ「かげきしょうじょ!!」Blu-ray第1巻

 

 

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