「TARI TARI」
8/1-8/14 限定で全話公開されていたので思い立って見てみたところ、思いがけずよかった。タイトルは知っていたし、制作が P.A.Works なので悪くはないと思いつつも、なんとなくタイトルで敬遠していた。ああ、そういう意味かと見ていくとわかる。「笑ったり、泣いたり」の「たり、たり」がタイトルなので、それぞれの回の題もそれをもじっている。
あえてなんでもかんでも説明してしまうような物語でないのもよい。初回ではひとり制服の違う和奏の境遇がよくわからない。音楽科から普通科へ転科したということは語られるので、なるほどそれで制服が違うのかとか、音楽科のある高校なのかとかはわかるが、なぜ転科したのかといった事情は 3 話、4 話あたりまでよくわからないままだ。
来夏(こなつ)や紗羽にしても同じ。ウィーンとあだ名される転校生もまた同じ。そうした女子三人と男子ふたりでなぜか合唱部をつくることになってそこを軸にして学校の大問題までふくめて 13 話で描かれるという少しばかり濃縮された内容。五人が主人公であり、さらに実は教頭先生もまたもうひとりの主人公であると最後にはわかる。
大人であろうと子供であろうといろいろなものを抱えて生きているということと、青春のやるせなさと、はつらつさと力強さと、まあいろんなものてんこ盛りでこれでもかと詰め込んでいてお腹いっぱいになるくらいの作品。
それぞれの秘められたエピソードも染みるものがあるし、決して楽観的な最後ではないとはいえ、暖かさの残る最後は気持ちのよいものだ。いままで見ずにいたのが悔やまれるくらいには。
唯一残念なのは、オープニング。冒頭ふたりが自転車で、残り三人が走ってくるという場面。走っている三人がすべて同じ側の手足をそろえてしまっている。次の映像にも少しはいっている。なんとも奇妙な印象が残るなと思いつつ繰り返し見ていたら気づいた。手足の動きがおかしいと。これ、どうして制作の誰も気づいていないのだろう。惜しい。
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