「魔法科高校の劣等生 1 入学編(上下)」(原作小説)
「優等生」の原作漫画のほうも確認したいとは思うのだが、諸般の事情によってひとまずはおおもとの原作小説のほうを読むことに。さすがにライトノベルというだけあってあっという間に上下巻およそ 600 ページ弱の「入学編」をのべ二日で読み終えた。
確かに文章はこなれているので読みやすく書かれているというのはある。それなりに書きなれているのときちんと推敲もされているのだろうなという印象はもった。ただ、読み進めるにつれてもともとがウェブで公開されたということもあってか、少々小説としては疑問に思う書かれ方が多用されるのは気になった。
達也がエリカに真面目くさった、ではなく、真面目な声で問うと、エリカも動揺していたのが嘘のような、深刻ではないがふざけてもいない、落ち着いた口調で答えた。
振り返った視線の先には、ゴツゴツした、という表現が一番しっくり来る、上背はさほどでもないが肉付きのよい(もちろん贅肉ではなく筋肉だ)、ガッチリした体格の、司と同じ三年生が立っていた。
小説としてはこうした書き方はいささかよろしくないと感じてしまう。脚本でもなく戯曲でもなくエッセイでもないのだ、こうした書き方はやはり違うのではないか。
また、多人数での会話では、誰のものかわからないままに進む場合もあって、これもよくない。セリフ回しの違いが顕著であればわかる部分もあるにはあるが、そのあたりが判然としないところも少なくない。やたらと括弧書きがはいってしまうのも小説としては少し違うのでは。
まあ、そうしたところがライトノベル的であるといえばそうかもしれない。これは当初ウェブで公開していたものなので、その後は少し変化があるかもしれず、そのあたりはもう少し読み進めてみないと判断できないかもしれない。
内容としてはほぼ「劣等生」アニメで描かれたものが原作を踏襲しているという感じ。多少端折った部分もあるにはあるが、入学編に関してはほぼすべてを描いたといってもいいのではないかという印象。もちろん、多少削除したぶんもあるのだが、むしろリズムとしてはそれでよかったのではないか。
また、気になっていたブランシュ日本支部への殴り込み場面についても「劣等生」アニメは原作に準拠という感じだ。「優等生」でセリフの話者が入れ替わるようなことは原作者としても普通は認めないと思うのだが、こればかりは漫画を読んでみないことにはわからない。ということで最終的な確認はもう少し先に。
とはいえ、ライトノベルとして物語は十二分に面白いし、ここまで精緻で細かな設定をされて世界観を作られてはもうもろ手を挙げるしかない。そして、アニメでもそうだが、そうした世界観を「説明しよう」にまかせるようなことをせずに、不明なものは不明なままに次第にきちんとわかるように塩梅するそのうまさは確かに見事だというしかない。
ということで続々読む予定。
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