「大放浪」(田中光二)
パンデミック系の小説とかが流れてきて昨年から思い出していたのだけれど、文庫を発掘してきて再読。やや説明が長ったらしいところもあるので飛ばし読み気味ではあったけれど二日弱で読了。
しっかりと覚えていなかったのもあるけれど、こんな話だったかと。
世界中がおそらくはウィルスと思われる感染症でほぼ壊滅状態になったところで、とある実業家に選ばれていた者たちが巨大な飛行船に集結してまさにノアの箱舟となる物語。
感染症の詳細については最終的にはあかされるものの、あまり詳しくはでてこない。インフルエンザウィルスとボツリヌス菌とのハイブリッドという感じのウィルスによるものという設定。
飛行船で世界を回りつつ、選ばれし者たちを回収していくという展開なのだが、次第にそこに隠された謎があらわれてきて結末を迎えるということ。ありていにいえば、その実業家こそがウィルスを作成し、ばらまいた張本人で、選んだ優秀な者たちにあらかじめワクチンを飲ませておいた。それによって彼らは飛行船までたどりつくことができた。
けれども、その動きを察知したとあるグループによって破壊工作がなされる。最終的に飛行船に乗り込んでワクチンの情報を得ようと画策する。というような話。
小松左京の「復活の日」ほどの設定の深さというか、物語の深さというかはない。冒険物語だから。とはいえ、実はもう少しそういう話だったろうかという思いはあったのだが。
ま、絶版なのでネタバレでも。
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