「数学ガールの誕生」
消費税が 10% に引き上げられる前にとまとめて関連シリーズを購入していた「数学ガール」と「秘密ノート」。本編の「数学ガール」のほうはここへきて一気に読んでしまったのに記録してないのだけれど、秘密ノートのシリーズというか同判型ででている「数学ガールの誕生」を先に記録。
ふたつの場所で行われた講演の記録。はじめは大学方面で、学生が論文のテーマに使ったという縁から講演にいたったというやつで、あとのほうは専門家や出版関係の人を前にした講演の記録。とはいえ、同じような時期だったのもあってか似通った内容ではある。
いかにして生まれたのか、どのようなことを意識して書いているのかといったことを丁寧に説明していてなかなか興味深い。また、数学専門家(大学で数学を教えているとか)が参加者だったりするので、質疑がなかなか面白い。教える側からするとどうしても陥りやすい問題であったり、なぜ、数学の読み物なのにここまで支持されるのだろうかといったところが、質疑や講演を通じてより明確になる過程が面白い。
なんといっても読者は決して莫迦ではない。ということを踏まえたうえで、けれど読者はそこまで読んだことをすべて覚えているわけではないとも語り、だからこそ、何度もなんども繰り返して説明する。数学者がひとことですませてしまいそうなこともあえて紙数をさいて説明する。それを繰り返すことで理解はされないとしても、「ああ、あそこにそんなことがでていたな」という記憶には残ると。そこで、そこへ戻るのであれば、それもよし。仮にそこまでいたらなくてもそれはそれでよし。繰り返すことで、ぼんやりと記憶に残る。それだけでも十分な意味がある。
授業ということでは必ずしも十分な時間をとることは難しいかもしれない。だからこそのこうした読み物なのかもしれない。それが相互補完できれば、より数学の世界というものが広く伝わっていくことになるのかもしれない。
このシリーズの面白さの秘密を知った思いになった良書。シリーズここについては、またいずれ記録しよう。
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