アニメ「氷菓」における自転車とかばん問題について(というほど大げさではない)
#文章は長くないですが、画像が多いのでページは長いです。
気が付いたのはようやく全話を見た 7 月ころで、あらためて確認したりあれこれと考察してみたりして一応の推測を得たのだけれど、なかなか書くにいたらず今になってしまった。いい加減記録しておこうと。(とはいえ、ニフティの個人事業売却のはなしがあるようなので、ココログそのものの行方が不透明でもあるけれど)
で、アニメ「氷菓」だ。評判がよいのは聞いていたけれど、当然のごとくこちらでの放送などはあるはずもなく(で合っていると思うが)、配信でも見る機会がなくて今頃になってようやく通してみたのだった。うん、よかった。京都アニメーションさすがというのもあるし、作品のベースもさすがというか。
で、本題とは別にアニメには気になる部分があった。キャラクターと自転車の位置関係が妙な時があるのだ。はじめにでてきたのは第 4 話。文集「氷菓」をめぐる過去の事件を考察するためにえるの家に集まる奉太郎と里志が自転車に乗っている。で、ここで明らかに右側走行をはじめる。
アニメ「氷菓」第4話冒頭 自転車に乗って右側走行の奉太郎(かばんは右肩)と里志
続く第 5 話冒頭。えるの家から帰る奉太郎と里志。雨なのでふたりは自転車を押して歩いている。歩いているのは右側なのだが、自転車は体の左側だ。雨があがって走り出すとそのまま右側を走っていく。
アニメ「氷菓」第5話冒頭 雨の帰り道の奉太郎(かばんは右肩)と里志 雨あがる(ふたりは道路の右側にいて自転車は体の左、つまり道路中央側にある)
アニメ「氷菓」第5話冒頭 雨あがり自転車で走り出す奉太郎と里志
ネットにはこれをしてけしからんという意見が見つかったけれど、たぶんそれは本質を見ていない。
では、ということですべての回で登場する自転車を確認してみる。
アニメ「氷菓」第1クールオープニング えるが自転車を体の右において歩いている
アニメ「氷菓」第5話 える(自転車は体の右)と奉太郎(かばんは左肩)
アニメ「氷菓」第10話 奉太郎(かばんは左肩)と里志(自転車は体の右)
アニメ「氷菓」第11話 える(自転車は体の右)と奉太郎(かばんは左肩)
アニメ「氷菓」第18話 える(自転車は体の右)と奉太郎(かばんは左肩)
いずれも自転車を押して歩くときには、体の右側において歩いている。自分のこととして考えると右利きの人であればまず同じようにしているはずだ。里志については先の右側走行時と合わせるとどちらの側でもあって通常はちょっと考えにくい。また、同じ 4 話であっても、えるは体の右側に自転車を置いて歩いている。
実のところえるに関しても逆に位置している回がある。それが第 21 話。
アニメ「氷菓」第21話 える(自転車は体の左側)と奉太郎(かばんは右肩)
アニメ「氷菓」第21話 える(自転車は体の左)と奉太郎(かばんは右肩) 後姿
ところが同じ 21 話でも終わりのほうでは、
アニメ「氷菓」第21話 える(自転車は体の右)と摩耶花
自分のこととして考えても立ち位置というのは癖になっているものでもあり、よほど意図的な理由がない限りはあえて逆にすることなどないし、仮にそうしたとしても実にちぐはぐした感じになってしまって扱いにくいものだ。だから、通常気分や状況で位置を変えるなどということはまずない。
さて、ここでもうひとつ気が付くことがある。それは奉太郎がカバンを肩から下げているときの肩が右か左かだ。見返してもらうとわかるが、多くは左肩に持ち手をかけているが、自転車との位置が逆になっている場面ではそれが右肩になっている。必ず。
先の第21話で比べると、えると歩いているときは右肩だったのに、下校時には左肩になる。
アニメ「氷菓」第21話 奉太郎(かばんは左肩)と里志 その2
また、遡ってページ冒頭の自転車右側走行のときの画像を見てもかばんは右肩になっているのがわかる。自転車と体の位置関係、走行時の向き、かばんをさげる肩の向き、いずれも同期している。
これらから類推できるひとつの仮説は韓国スタジオの間違いがそのままになっているというもの。
京都アニメーションでは ST BLUE という韓国スタジオが強力なパートナーとして協力しているらしい。撮影以外の段階のほぼすべてを任せるくらいの信頼を置いているらしい。韓国では車両は右側通行だ。この時代作画のための原画データはデジタルで送られるかクラウド上のフォルダなどに置かれている可能性が高い。
この原画データを見た韓国スタッフ。自転車が左側走行しているのはおかしいねと右側走行で作画。という可能性が一番なのではなかろうかと。いや、多少無理がないとはいわないのだけれど、ほかに納得のいく理由が見つからない。
そうであれば鞄を下げる肩の位置が左右変わってしまうのも画像反転で納得がいく。ただ、これらの場合でも不思議なのは服の合わせは正しく修正されているというあたり。(21 話のえると奉太郎の正面や、奉太郎と里志の画像などがわかりやすい)
事実逆向きになってしまっている回に ST BLUE が参加していることはスタッフロールでも確認できる。仮に修正しようとするとシーンすべてを描きなおすことになり、膨大な手間を必要としてしまう。ということで修正はあきらめてしまっているのではなかろうかと。
まさか気が付いていないなどということはないと思うのだが。
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