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「イルマーレ」

 湖の上にたつガラス張りの不思議な家。都会の病院勤務となるためにそこを引き払うことになったケイトが次の住人あてに手紙を残す。郵便の転送手続きはすませてあるけれど、もしも届くことがあったら次の住所へ届けて欲しいなどと書いて。

 ところがその手紙がなぜか 2 年前に届き、つまり彼女の前にそこに住んでいたアレックスがその手紙を見ることに。書かれている内容に小さな齟齬がみつかり、そんなこんなでいつしか文通のはじまるふたり。しかし、なぜその家にあるポストへの投函でやりとりが? と思うのは日本的な印象なのか。

 そうこうするうちに次第にお互いにひかれあっていくものの、どうやらお互いの間には 2 年という時間の違いがあるということに気づくと。それでもなんとか出会うことはできないかと思ったり、偶然(というか媒介している犬のおかげか)ですこしずつ接触がはじまったり。

 いよいよレストランで会おうということになるのだが、ケイトにとっては明日だが、アレックスにとっては二年後のこと。それでも待つ。店に二年先の予約をいれて。ところがアレックスはこない。いや、こないだろうと見ているもののあるものは思う。冒頭で交通事故に遭遇して倒れた男性に救命措置をするケイトなのだが、それはどうみてもアレックスだろうという展開だった。そのことにはその時点まで触れられないわけだが、そこでようやくつながってくる。となれば、その事故は防がなくてはということで過去のアレックスに手紙を届ける。しかし、もう二年がたっていて、アレックス時間ではまさに今日であろうと。

 はたしてこのまま出会えないままなのかというすれ違いぐあいがきっと人気の秘密ではあるのだろうなと。

 SF というわけではないのでタイムパラドックスとかは考えてはいけないし、なぜという不合理はそういうものとして楽しむのがよい。見ていて思ったのはフィニイの「愛の手紙」のようであるなと。フィニイのそれは古い家の机の引き出しにあった便箋だかに手紙を書いていれたら過去に届いた。そして便箋のある限り文通を、というような話だったかと。その回数が決まっているというあたりも切なさにつながったわけだけれど、実にフィニイらしい作品で好きな作品ではある。

 シチュエーションは異なるけれどなんとなくそれをイメージしたのだった。なにやら元の映画が別にあるとかいう話も見聞きはしたが調べてはいないのでわからない。それでもいい感じにまとまった映画ではないかな。浪漫にあこがれる世代・時期・気分にはよいのではないか。

 タイトルについてはやや微妙なところがあって、原題は「The Lake House」。では、イルマーレとはなにかと思ったが、つまりふたりが約束していて会えなかったレストランの名前ということらしい。うーむ、ちょっと微妙。とはいえ、恋する乙女にはキュンキュンきそうな作品であることは間違いないかな。


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