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「饗宴」

 せっかく付与されたポイントを使えるところがあるだろうかと見ていたら目に止まったので。少し前に「100 分で名著」でも取り上げていたというのも記憶にあったのはある。

 が、読んでいるとひたすらにエロスの神を賛美する演説を繰り広げるだけという内容ではあるのだった。それぞれに異なった視点で朗々と語るあたりはなかなか面白いし、そのかけあいの感じも楽しいのだけれど、なんとなくこれだけだったっけか? と思ってしまうのは「100 分で名著」のある意味悪い影響なのかもしれない。

 とはいえではではとソクラテスが満を持して登場してそれまでのすべてを飲み込みつつ語り始める段はなかなかに見事ではあって、そのあたりへとなだれこむ展開がその昔に書かれたのかと思うと、それはそれでちょっとした感慨ではある。

 さらには番組では触れていたかどうか定かではないのだけれど、最後の段になるととうとうそれはソクラテスに対する同性愛の告白のような様相になってきて、これはこれはどうなのだ、昨今の BL の走りなのか、などと思ってしまうくらい。

 などと思っていると唐突に物語りは終わってしまう。そのくらい後半の勢いというか迫力というかはちょっとすごいものがある。

 ただ、本書に関していえば、この本文が全体の 3 分の 2 くらいで、まだまだページは残っている。そこに解説があるのだが、時代の解説であったり、作品の解説であったりが丁寧に書かれていて、実のところこの解説のほうが本文よりもよほど面白かったというのはある。それだけでも十分に価値があるなあと。

 本文を読み終えたときにはさほど感慨は強くなかったのだけれど、解説を読み始めてにわかにその思いを強くしたというのはまごうことなき事実ではあるのだった。そういう意味ではおすすめ。

B00AQRYP58饗宴
プラトン 戸塚七郎
グーテンベルク21 2012-12-19

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