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「明日への追跡」

 埋没する電子書籍消化プロジェクト、そろそろ最終。案外早い。まあ、小説系はそのくらいしか溜め込んでいないのだった。

 かつてのジュブナイルがふと懐かしくなったのもあって読んでみたのだけれど読んだことも、実のところ聞いたこともなかったのでやや不安も。中学一年生の主人公男子のまわりで不可解な事件が起きるというもの。友人男子がふたり相次いで死亡する。直前にあった彼になにやら不安を訴えていて、先日転校してきたばかりの男子生徒が疑わしい。

 そうこうするうちに、しばらく前に転校してきた女子生徒がなにやら彼が持っているという「缶」を探しているという噂が。しかし、彼にはそんなものに覚えはない。それらしいもの(ガラクタ)ならいくらでもあるが、そもそもなぜ転校してきた彼女がそれを欲しがるのかもさっぱりわからない。

 しまいには気配だけだが忍び込んでいることがわかる。自分をひそかにみはっていて、いや、それ以前に家捜ししたが見つからなかったという様子が伺える。なぜ、彼がそれを持っているというのか。それはいったい何なのか?

 彼は仲間と一緒に転校生ふたりの素性を調べるために、彼らがそれまでいたとされる町へと行くのだが、一緒にきた同級生の女子の姿が消えてしまう。転校生ふたりの姿も消えた。調べていた当時をしる漁師のおじいさんも不慮の死を迎え、いっそう危険がせまる。

 はたして転校してきた男女ふたりは敵なのか味方なのか。どちらが敵で、どちらが味方なのか。結局その構図だけは明らかになるものの、探しものが何なのか、それが何なのかなどはいっさい不明なまま事件は終結してしまうのだった。

 あの頃のジュブナイルってそんなものだったろうか。どうも釈然としないところが。不思議な感じだけで十分だった時代だったかもしれないけれど。うーむ。

 そもそも表題の意味が最後の最後のこじつけくらいしかなくて、それもなんだかなという理由であったり。よほどあとがきで語られる光瀬龍の幼いころの体験のほうが面白いのだった。というか、それをもとにして書かれたという感じではあるのだが、それにしてもなにも明らかにならないままというのはちょっと。

B00NH9B59G明日への追跡 (角川文庫)
光瀬 龍
KADOKAWA / 角川書店 2002-06-14

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