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「ゲノムハザード」

 司城志朗原作ということで案外面白いだろうかということで見始めた。この人はどちらかというとアクション系というか謀略系というか紛争系というかで、あまり科学的な SF 的なものは得手ではなかったような気がするのだが、どうにもトンデモ SF 系の設定による作品で、ちょっとそのあたりには面白みを感じつつも無理すぎる感じが強くしてしまった。

 ウィルスが人の記憶を遺伝子に組み込んで保持することができるといい(というかそういうウィルスの開発にある程度成功した)、それによって記憶の上書きがなされてしまった結果による物語というのが大筋。

 イラストレーターなのかデザイナーなのかの男が家に帰ると妻が死んでいる。ふいに警察官がきたのであたふたしつつも説明すると妻の姿は消えている。事情を聞くといって乗せられた車は警察には向かわず、騒ぎを起こしてなんとか逃げ出す。その後も謎の人物たちに追われる。次第に自分がなにものであるのかもわからなくなってくる。住んでいたはずのマンションには別人が暮らしているし、当初でてきた自宅とはそもそも感じが違う。「いや、そこはあの部屋とは違うだろう?」と見ている側は思う。

 友人を訪ねるがわからない。逃走の途中でたまたま助けてもらうことになった韓国のテレビ局なのかの女性。この件もやや無理があるけれど、次第に彼の逃亡を助けるようになり彼の身の上を調べる手助けもするようになる。

 そのうちに実は彼はそのイラストレーターとは顔が違うようだというのがわかりはじめる。そうこうしているうちにどうやら韓国人で科学者でウィルス関係の研究をとある機関で行っていたようだというようなことまでわかる。

 結局のところ、研究所の所長なのか(もちろん日本にある研究所で日本人が所長なのだが)が交通事故を起こしてしまい、それで死亡したのが件のイラストレーター。しかし、たまたま主人公が作成していたウィルスがイラストレーターに感染。そこで所長は主人公にそのウィルスを投与してしまう。すると記憶が変わってしまうと。ただ、時間が短かったので記憶は短期のものでしかなく、全体にあやふやなところがでる。

 そうしてイラストレーターと信じて生活をはじめ結婚までするが、この結婚は実は所長がしくんだ偽装結婚相手だったと。もともと主人公は結婚しており、韓国人の妻がいたが、ある日いなくなってしまった夫をずっと探していてようやく見つけたために彼の家を訪ねたのだったと最後にわかる。死体はその本来の妻のものであったが、暗がりでもあり、そもそも実際の妻でもあったので主人公には同じ「妻」として処理されてしまっていた。

 そうして記憶が少しずつ戻っていく過程でわかってくるのはウィルスはまだ未完成で、どうやら苑効果は長く続かず一年くらいでしかないということ。で、彼の記憶もまもなく消えてしまう可能性があると。

 そうとは知らない韓国の製薬企業がその技術を求めて彼の拉致にでたのが一連の事件の真相で、実際終盤韓国にまで連れて行かれてしまう。そこで壮絶なカーチェイスをして逃げてくるのだが、どうやって出国したのだろうというのが大いなる疑問。全体から見ると韓国での件は不要だったかもしれない。

 そうしてすべてが明かされるようになって所長に復讐するかという段になる。突飛な設定に負けないだけの展開ができたかというとやや疑問なところもあって、ちょっと無理をしすぎたのではないかとは。面白そうな設定ではあるのだけれど。

 製作は日本と韓国の共同ということなのだが、どちらかというと主体は韓国のような感じ。監督をはじめいろいろのスタッフも韓国名が多かったようには思う。日本のスタッフもいるにはいるのだけれど。撮影そのものは大半が日本でロケーションされているようではあるが。なので、映画の作りそのものも韓国的なのかもしれず、そのあたりの違和感のようなものも不利に働いてしまったのかもしれない。

 いいものは持っているのだがなあという作品だった。もう少しがんばりましょうというところか。

 韓国タイトルは「無名人」ということだけれど、デザイン的にはむしろそれが主たるタイトルで「ゲノムハザード」が副題みたいなイメージ。邦題のサブタイトルはネタばらしもいいところなので面白みをなくしてしまっている。

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