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「神々の歩法」

 引き続き電子書籍の消化を。今年の第六回の SF 短編賞の受賞作。なにやらパワードスーツみたいな兵士が砂漠化した北京だかにやってきて、バケモノのような相手と戦うということらしく、冒頭はなにが起こるのかよくはわからない。世界がどうなったというのも細かいことはわからない。でもまあそういう世界。

 で、普通の人間のように見える相手がさながら漫画でよくあるかのような超人的なパワーを持っていてという感じで描かれていくと。そこへ、今度は女の子が登場してなにやらバケモノと互角に戦ってしまうと。

 結局なにやら宇宙からやってきた生命体なのか意識体なのかというのが人間に寄生するかのようにしているということがわかって、例のバケモノも少女もそうであると。で、一緒に倒しましょうという展開になると。

 はじめのワクワクどきどきとは最後はちょっと違って、それだけだったのかという印象も正直なところではあるのだった。短編なのだからさほど期待してもはじまらないし、そこまでなにかを描けるわけでもないのだし十分といえば十分。物足りないといえば物足りない。

 とはいえ、既にラノベとはいえプロデビューされている方ということで文章は確かにうまいので、全体としてのまとまりはよい。素直に読んでいけるというのもまたうまさのひとつではある。唯一ちょっとと思うのは選評にもあったと思うけれど、システムとの交信かと思う端末描写の部分が今ひとつというか、あるいは不要だったというか。このあたりはラノベの悪影響だったということかもしれない。

 ただ、SF として面白かったのかというとただただ物語の展開だけを見せられたという印象も強くて、面白みというのはあまりなかったようには思う。無難にまとめられすぎていたとでもいうか。面白みという点では「あがり」のほうが SF としての面白さを感じたというのは正直なところか。

 というわけで可もなく不可もなくという感じの作品だった。あ、タイトルがやや意味不明というのももったいない点かも。

B010DY7LOK神々の歩法 -Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作
宮澤 伊織
東京創元社 2015-06-30

by G-Tools

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