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「ピアノ・レッスン」

 昔ビデオレンタルになったときにどういう理由で知ったのか見たのだった。今ではレンタルがなくなっていて(なにやら発禁処分とかいう話が聞こえてきたが、それほどエロな内容でもないのだが)販売 DVD とかでしか見ることができないらしい。ということもあって久々に見た。

 幼いころに声を失ってしまった女性がピアノだけを心の支えに生きてきて、幼い娘と静かに暮らしていたのだが、オーストラリアのとある男性のもとに嫁ぐことになった。話せないこともわかったうえでというのだが到着したところが迎えがいない。大きくて重いピアノを持参していたので運搬していた船員たちからは評判がよろしくない。浜辺においておくしかないとか、捨ててしまったらみたいに言われるので怒って自分たちはここで野宿するのだと。

 翌日ようやく夫となる人物が村人をつれて迎えにくるが、ピアノはとても持っていけないから置いていくという。とても持っていけるような道ではないのだと。なんとかすがるものの埒はあかず、結局ピアノを浜辺に残したままいくことになる。

 なかなか心を開けないなかで、村人と化したかつての白人に頼んで浜辺まで行き、そこで日が暮れるまで思い切りピアノを弾くことでようやく心の平穏を保つのだった。その男はすっかり彼女にひかれていき、やがてはピアノと自分の土地を交換しようともちかけ、ピアノを自分の家に運び込む。そして彼女にはここでひいて自分にピアノを教えてくれと交渉する。そのたびに鍵盤を彼女に返すからと。

 実際には彼女のひくピアノを聞いているばかりの男。次第にその要求が奇妙なものになっていく。腕の動きを見たいから服を脱げとか、足の動きを見るからスカートをまくしあげろとかいってスカートの下に顔をうずめたり。あげく素っ裸になって「おまえも脱げ」と。

 そんな生活が続くにつれ新しい父親に嫌悪感をいだいていた娘もしだいに彼女から離れるようになってしまい、彼女は男のもとに通いつめるようになる。男との情事を知ってしまった夫は妻の指を斧で落としてしまう。今後男と会うなら指を一本ずつ切っていくぞと。

 それでも彼女の男にたいする思いは変わらない。ついには自分の心はあなたのものだというメッセージを男に送ろうとして娘に頼むのだが、娘はそれを父親に届けてしまう。とんでもない修羅場になるのかという展開だが、結局夫は彼女を諦めることになる。もはやどこへでも行くがいいと。そうして二人と娘はピアノとともに国へ帰ろうというのだったか。しかし、船が小さくてピアノは重くバランスがとりにくい。捨てるべきだという村人。男はそれはできないというが、彼女が捨てようと決心する。そうしてピアノを海に落とすのだがつないでいたロープが彼女の足にひっかかり海へと引きずりこまれてしまう。

 あわやというところで靴をぬいでなんとか彼女は生還。そうしてしあわせに暮らすのだった。というような。監督ジェーン・カンピオンは女性なのもあって映像は美しいし、男女のまじわりにしても妙ないやらしさが感じられない。純粋に求め合う、愛し合う男女の物語。なぜ発禁などということに。もったいない。

 原題は「The Piano」。

B00K7AZD3Cピアノ・レッスン DVD HDリマスター版
東宝 2014-08-20

by G-Tools

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