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権力は狂気

 NHK スペシャルで「盗まれた最高機密」を見る。あるいは知っている人には特に目新しくもないのかもしれないけれどなかなか興味深く見た。ようは第二次大戦中に原爆を巡って暗躍したスパイ戦の話。

 まずはドイツで原爆を開発しているらしいという情報をアメリカが入手すると。ドイツがそんなものを手に入れた日にはとんでもないことになるということでアインシュタインが進言すると、「じゃあ、うちも開発しよう」という話になる。開発を阻止するとかよりもあいつが原爆を作るのなら俺たちも作ればいい、というある意味お子様的な論理。

 ところがドイツにはハイゼンベルクという天才科学者がいてどこまで開発が進んでいるのか想像もつかず、アメリカの技術者はなかなか作業が進まないと。そんなこんなもあってドイツの現状をさぐるべくスパイ組織が送り込まれると。その主たる人物が恐らくは近年まで存命であったらしくインタビューに応じていたのだった(もっとも息子へのインタビューもあったのでその後に、つまり今は亡くなっているのではなかろうか)。

 ハイゼンベルクを探すが一向に見つからない。見つかったのは生物兵器の実験をしているところくらい。大勢のユダヤ人の遺体が発見されたりとか。そんな中でハイゼンベルクによる講演会があるということで、もと野球選手に暗殺を命じる(なぜ野球選手なのかというのは疑問だったりは)。万一完成に近い話がでるようだったら迷うことなく暗殺しろという命を受けて。しかし、そういうことはなく量子論の話に終始したらしい。

 その後わかったのは、結局ごく初期の段階で原爆開発は中止されたままだったということ。さすがにドイツも長期にわたる研究開発にさく余裕はなくなってしまったということで開発を断念していたらしい。そこで安心して開発が進むかと思いきや、今度はソビエトのことが脳裏をよぎる。ソビエトが原爆の技術を持つとよろしくない。原爆をアメリカだけのものにすれば世界の覇権を握ることができると。

 ということでウランを鉱山ごとそっくり買い占めるアメリカ。原料がなければ開発できない。ところがソビエトはドイツが隠し持っていたウランを入手することに成功する。また、ハイゼンベルクをアメリカが拉致しイギリスに幽閉。頭脳がなければ問題ないと。

 実際開発に必要な人材に不足したりで開発が進まないソビエト。もっともアメリカも同様で、起爆装置がどうにもうまくいかない。大勢の技術者・研究者を集めて開発をすすめようやくめどがたつ。ところがアメリカだけが原爆という狂気の兵器を持つことに不安をおぼえた若き研究者? がソビエトにその情報を流してしまう。ソビエトからそそのかされてとかでもなく、自発的にいわば国を裏切ってというような状況。6000 ページにも及ぶ機密資料がソビエトに渡ったとか。

 結果完成したソビエトの原爆はアメリカが長崎に落としたものと瓜二つのものだったと。そして「冷戦」へ。

 はたして世界は一応の平和を保つことができたと考えるべきなのかどうなのか。とはいえ、いつの世も疑心暗鬼が戦争を生むのだなという恐ろしくも単純な理由を再確認した番組だった。まあ、それだけがすべてではないかもしれないけれど。

 ちなみに日本でも原爆開発計画はあったものの、ドイツから運ばれてきたウラン原料輸送がアメリカなどによって捕縛されてしまい断念するにいたったとか。

 結局勝ち負けにかかわらず狂気の指導者によってこの世はなりたっているのだなと思うと恐ろしくなるのだった。

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