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謎の乾燥卵;「チャリング・クロス街84番地」

 存在を知ったのは本の雑誌だったのだろうか。今となってはよく覚えていないのだけれど、なにやら本好きにはよさそうなというふれこみだったように思って読んでみたのだった。イギリスにある古書店とアメリカ在住のヘレーンとの古書の注文をやりとりする往復書簡という体で、そこにさまざまな本のうんちくのようなことであるとか、はたまた生活のことであるとか、どうやら物資困窮の時代背景であったようでそんな物資にかかわる話や、「お肉も送りました」的な内容もでてくる。

 正直これがただのフィクションなのか、はたまた実際に行われた書簡のやりとりをまとめたものなのかよくわからないのだけれど、どうやら実際に編著者であるヘレーンがやりとりしたものをまとめたということではあるらしい。後の話としての続編も出版されているらしいし、それは実際にかの地に赴いて店を訪ねたというような内容の写真のついたものらしい(未読・未見なのであくまでも、らしい)。

 で、内容はたしかに心温まる往復書簡でその時代を思わせるものがあって、ある意味貴重な歴史的な史料ともいえるかもしれない。

 というか個人的にはそこにでてくる「乾燥卵」というものが長年謎だったのだ。読んだのはまだインターネットがこれほど普及する前で、パソコン通信はあったかもしれないが、自分でははじめていなかった頃かもしれない。後に調べてみたもののわからないままだった。

 それがこのほどあっさりわかり、やはり調べ物のプロというかコツを持っている人というのはさすがだなと感服した次第。

 つまりはまさしく乾燥させた粉末卵のことらしいのだった。この時代(1950 年前後)においてはまだ卵を安全に輸送するような手段がなかったのか。いや、今だってさすがに卵を海外から輸入するようなことはしないか。いずれにしても長期保存可能な卵というものが必要とされていたということなのだろう。

 ただ、作中でもでてくるのだが、どうやらあまりおいしくはないらしい。

乾燥卵は糊みたいなアジがするのだそうで、それが問題なのです。(P.59)

 とはいえちょっと試してみたい気持ちもなくはないな。怖いものみたさみたいなもので。

 長年の謎が氷解したのだった。

[ dried eggs - Google 検索 ]


4122011639チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)
ヘレーン・ハンフ
中央公論社 1984-10-10

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 映画化されていたのか。

B002MTS446チャーリング・クロス街84番地 [DVD]
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 2009-11-04

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4639022956続・チャリング・クロス街84番地―憧れのロンドンをめぐる旅―
ヘレーン・ハンフ 恒松郁生
雄山閣 2013-12-24

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