「ギルバート・グレイプ」
生まれてからこのかた 24 年、この退屈な町からでたことのないギルバート。町の小さな雑貨屋で働いているものの、近くに大手のスーパーができてしまい売り上げはかんばしくない。過食症の母、知的障害の弟、姉と妹を養うために必死に働くが暮らしは楽にはならない。弟の奇抜な行動になんどとなく困らせられ、町にいてもやや肩身が狭い。
保険屋の夫をもつ婦人とは不倫関係。配達の名目でよっては情事を重ねるが、夫に知られているのではと不安でしかたない。分かれようとしたところ婦人が事件を起こしてしまい、大騒動にもなるが幸いふたりの関係は公にならずにすんだ様子。
トレーラーハウスで移動していて車の調子が悪く町にい続けている若い女性と仲良くなり、次第に心を通わせるようになるにつれ弟のちょっとした行動が癇に障るようになる。とうとう家をでてしまうが、結局戻ってくる。その日は弟の誕生日パーティー。母も兄弟も友人もみな楽しみにしていた。
食べることだけで外にでることも動くこともしない母親は自分では身動きできないくらいに太ってしまい、もう何もする気力もない。しかし、ようやくこのままではいけないと思い立ちやせる努力をしようかと思ったところでそのまま亡くなってしまう。二階のベッドに何年ぶりかであがったあとのことだった。
遺体をどうするのだ? と悩むギルバートたち。思い出深いこの家。けれどそれこそが呪縛であると気づいて、家とも町とも決別をする意思をかためる。
とにかく障害を持った弟を演じたディカプリオがすごすぎて、まだ 10 台そこそこのはずなのにと恐ろしくなるくらい。ジョニー・デップにしてもまだ若く、後にスパロー船長のような役やらややジャンキーな役が板につくようにはまったく見えない。
障害を持つ家族を持つということを切実に見せつけて深く考えさせられるものの、温かいものが底辺に流れているなと実感する作品だった。
原題は「What's Eating GILBERT GRAPE」らしい。
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