「MW (ムウ)」
とある島の住民が全員殺される事件が起きたのだが、それはほとんど表沙汰にされることもなく疫病かなにかといった風にでも隠蔽されたらしかった。たまたま生き残りの少年ふたりがのちに事件を起こすという話。
ひとりはエリート銀行員として名を上げる裏では詐欺など犯罪に手を染めており、もうひとりは神父として穏やかに暮らしていたはずなのだが、犯罪の片棒を担がされることを拒否できずにいると。やがて、島民が虐殺された事件の裏に「MW(ムウ)」と呼ばれるなにかがあることがわかり、それが実は新型の細菌兵器らしいのだったと。
しかし、MW には欠点があって事件とともに隠蔽されたが、当時の残りがまだあるというのでそれを使って復讐を計画すると。たまたま事件を調べることになった女性新聞記者をまじえて物語が展開していくのだがというところ。
前半東南アジアでおこる誘拐事件。実はそれは狂言で、裏にあるのは島民虐殺事件の首謀者への復讐の一環だったというところなのだが、そのあたりまでは展開としても描かれ方としてもなかなか面白いものがあった。ただ、後半日本での展開はどうもいまひとつな感じがしてしまう。前半のような面白さがなかなかないし、迫力にもかけるところが。必然性というか。
部隊の描き方とかにしても今ひとつ不自然な感じが強くてはいりこめない。レビューなど見ると、そもそも原作とはだいぶ違うという話もあるようで(もっとも、この手の原作と違うはもはや考えてもはじまらない問題ではあるのだけれど)、まさに映画オリジナルの物語というところなのだけれど、脚本不足というような印象。前半のノリが後半にも欲しかった。特に結末は、それじゃダメだろうという。
手塚治虫原作に期待しすぎるとちょっと残念な作品かもしれない。
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コメント
そもそも、手塚治虫の原作が、どこまで行っても救いのないひどい話で、手塚作品の中でも相当読後感の悪い作品(^_^;
76年からの作品なので、手塚冬の時代からは抜け出た頃ですが、まだ相当精神的なダメージが残っていたのでは?と思わせます。
だから、よくあんな話映画化するなあと思って、見る気がしなかった作品です(というわけで未見(^_^;)
投稿: 黒豆 | 2015.08.25 22:04
なるほど、確かに設定とかにしてもかなりダークな雰囲気はあって映画化でそのあたりがかなりやんわりとされてしまったというところなのでしょうね。
いっそもっと原作からかけ離れたものにしてしまえばよかったのに(^^;
投稿: ムムリク | 2015.08.26 08:01