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「図書館革命」 図書館戦争シリーズ 4

 気がつけばシリーズも最終巻の 4 巻。じっくり読もうと思っても気づくとどんどんページが進んでしまって終わってしまう。困ったものだ。

 いよいよ良化委員会の圧力が高まってとある原発テロ事件のモデルになったのではといわれる小説をめぐり、作家に執筆活動を制限する措置をするという話になってきて表現の自由の危機がという話。

 状況を事前に察知してすばやく図書館に身を潜めることに成功したものの、当然内部にも敵はいるわけでそれらとの攻防が序盤。図書館にいるのは限界ということで稲峰元指令のところにかくまってもらうことにするのが中盤。ここにもやがて良化委員会の手がはいるようになる。

 柴崎の働きで未来企画と協同が実現することになるあたりの流れも面白い。柴崎のしたたかさと鈍感さと。

 そして終盤のメインは、いよいよそれら一連のことについて裁判にもちこみ時間をかせぐものの(間にテレビを通じた一種のプロパガンダ攻勢にでるというあたりも面白い)結果としては良化委員会よりの結果に終わることで最終兵器を投入。笠原がふとつぶやいた「亡命」が作戦として実行される。

 判決後にダミーもいれて逃走をはかるが、直前に内部から情報がもれてしまって良化委員会が最寄の大使館前にはりついてしまい、なかなか近づけない。都内での攻防戦で堂上が負傷。笠原と作家とで大阪へ向かう作戦が取られる。幸いというかあいにくの荒天のためもあり、まさか大阪に気づくのには時間がかかるであろうと夜通し大阪へむけて車を走らせ、明けての翌日ついに最後の突入決行。

 まあ、見事に東京と大阪をまたにかけた大逃走劇が繰り広げられて、とんでもない奇妙な作戦として最後を迎えるその面白さ。奇想天外さがなんとも痛快。堂上と笠原の結末は、まあおまけみたいなものなのか。

 とはいえ武雄市図書館の事例など見ると、近い将来に図書隊が必要な時代はきてしまうのではないか、という不安すら覚える昨今。いろいろな意味で怖い物語でもあるのだった。楽しんでいられるだけであることを切実に願うばかり。

 それにしてもついに終わってしまった。まあ、別冊のシリーズがもう少しあるので、なんとか楽しめるのかもしれないけれど。終わってしまったなあ。


 どうやらこのカバーはもう終わってしまったらしい。あたらしいデザインになってしまった。不ぞろいでよろしくない。

4043898088図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)
有川 浩 徒花 スクモ
KADOKAWA/角川書店 2011-06-23

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