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アルバトロスの翼

 NHK スペシャルでアホウドリの移住計画を見る。鳥島から営巣地を移そうという取り組みについては当事のニュースとかで見た覚えはあって、そういえばその後についてはあまり知らないなというのが正直なところだった。その一部始終 8 年あまりの活動をまとめたもの。

 そもそもが活火山ということで絶滅から救うためにも営巣地を移そうという計画で、毎年同じところに巣を作るという習性があるらしいということであらたな地に誘導しようという計画。といってもアホウドリの飼育そのものの知識が十分ではなく、正直試行錯誤でのはじまりということだったようだ。

 ひなをなんとか捕まえてきて移動させ、餌を与えようとするものの、人を恐れてなかなかおとなしくしてくれない。まあ、それも無理はないのか。それでもなんとかやってようやく餌を与えることができるようになったと。

 その餌にしても所期のころは十分に細かくしたすり餌といったもので、これをはじめ生クリームを絞るアレでやろうとしたが固くてうまく流し込めない。そうして時間がかかるうちに雛が吐いてしまう。そこでと取り出したのがコーキングガン。隙間充填剤を押し出す道具。これがうまくいったというのだから、なかなか面白い。

 ようやくにして帰ってくるアホウドリがではじめて、カップルになるもののでてきた。抱卵をはじめたが様子がおかしいので確認すると未受精卵だったと。それが 3 年あまり続いてしまいまだ結果がでない。それでも毎年そのつがいはもどってくるし、それにつられてなのか新しい個体もやってくるようにはなったと淡い期待もというところへ、お隣の無人島で見つかった雛がどうやら二世らしいということがわかる。

 結局わかったのは、かならずしも生まれた島にもどるとは限らないけれど、それはまた新しい島に営巣する可能性もあるということでもあると。合計 70 羽ほどのひなを移動させて育てたけれど、まだまだ結果として満足できるものではないという難しさ。

 人の傲慢さによる乱獲で数を減らし、一時は絶滅と思われていただけに、ようやく復活したこの数はなんとしても保護したいという思いとそんなことなどつゆ知らぬアホウドリ自身の行動とのせめぎあいとでもいうか。

 なかなか簡単にはいかないプロジェクトではあるけれど、うまくいくとよいなあと。こういう仕事、ちょっとあこがれる。

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