「シェルブールの雨傘」
タイトルだけはしっかりと記憶されているのに実際に見たことはなかった映画で、実はミュージカルというかずっと歌っているのでオペラ映画だとはじめに教えてもらったので、ちょっと恐る恐る見たのだった。
しかし、冒頭のタイトルバックなどの映像が美しくてすぐに引き込まれてしまう。石畳の街路らしき場所を上から見ていてタイトルや役者の名前がでるなかを傘を差した人や、ささずに濡れて歩く人などが、さまざまな方向で画面にはいっては出て行く。その動きとそれらの文字の配置が実にステキなのだった。
物語としては傘屋の娘が自動車整備だかの男と恋をするのだが、母親は反対。内緒であったりいろいろするのだが、男は兵役に取られてしまう。ずっと待つという彼女だが、実は商売はあまりかんばしくなく金を借りてなんとかしたいと画策。母親が手持ちの宝石類を売ってなんとかしようとするのだが、あまり色よい返事がもらえない。
たまたま宝石店で出会った宝石商の男が力になろうということで手を尽くすのだが、実は娘に気があるのだった。母親のほうは、宝石商にちょっとほれてしまっていてむしろ自分がという感じだったのだが、娘さんをと打ち明けられて結局娘も帰ってくるあてのない兵役にでた男のことをあきらめて結婚することにする。娘が兵役にでた男の赤ん坊を身ごもっていることも理由というか。
数年後。兵役を終えてもどってきた男はかつての傘屋をたずねるのだが、もはや店は変わっていて、どうやら他所へ移り住んでしまったらしい。そうこうして、あたらしい出会いをして結婚し子供も生まれた。念願のガソリンスタンドを経営し、それなりの暮らしをしているクリスマス。たまたま給油にきた車を見ると驚いたことに行方のわからなくなっていた彼女。ほんの少しだけ近況を話すものの、お互いに幸せな家庭を築いているわけで、いまさらどうしようもない。というような思いのままに分かれると。
人生の悲哀であるなあと。はじめのほうではオペラ映画にちょっととまどいというか、疲れも感じたのだが、最後はこれはこれでよいのかという感じにはなれた。例の曲もなんどとなく流れてきて切なさを訴えるのだった。
そうそう思うようにばかりはいかない。それが人生というものなのだろうなと。悲しいけれどそれもまた人生であるよと。
やはり名作は名作といわれるに見合うなにかがあるのだなあとあらためて思ったりする。
(arton さんに教えてもらった「ロシュフォールの恋人たち」も見てみたい)
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これか。
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