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「私の中のあなた」

 難病(がん?)のため臓器移植するしか手段がないが両親は適合せず弟もダメ。ドナーをひたすら待つしかないが、現れるかどうかも定かとはいえないし、仮に現れたとしても、順番待ちの患者が多数いるなかでは、適合したとしても順番がどうなるかもわからない。ひとつの手段として医師から提示されたのは、適合するような遺伝情報を持つように子供を作ること。多数の組み合わせからということだったのか詳細はよくわからないものの、簡単に言えばまあそういうこと。つまり姉の移植用の子供を作るということ。生まれながらにして姉を救うためのある意味道具としての定めをおうことになった妹をめぐる物語。

 突如妹が著名な弁護士を訪ねる。両親が姉の移植のために自分を作った、自分はもうそれに協力したくない、自分の体は自分のものであり、自分の人生であると。姉のためのすべての医療行為を拒否したいというもの。

 もともと弁護士をしていた母親はそれを知って激しく怒る。仕事もやめてすべての長女のためにささげていたし、次女への愛情も嘘ではないのだと。

 けれども弁護士は妹の話をきちんと聞き、わずかばかりの依頼の資金だけで弁護を引き受ける。そうして親子の間で壮絶な法廷闘争がはじまることになってしまうと。

 治療を続ける姉に同じく治療をつづける男の子との恋が芽生えたり、親子の団欒があったり、一方でその裁判にいたった本当のことが次第にあかされていったり。つまりは、姉はもうこれ以上家族を犠牲にしてまで生きることに意味を見出せなくなっていて、残された時間をいかに充実して過ごすかということをこそ望んでいて、ありていにいえば自然に死を迎えたいと思っていた。けれども母親がそれを受け入れることができなかった。そうして妹を傷つけていることに対する罪悪感。

 家族なのだから当然だろうという母親と、けれどそれもなにか違うよという子供と、受け止めてやるしかできない父親と。みたいな。

 裁判の過程は多少どろどろしたものがでてきてしまうとはいえ、こういうことはもはや現実であったなあと思い返したり、なかなかにハードな物語なのであった。作品にたいして不平をいうレビューもあるようではあるけれど、素直に受け止めればよいだけではないかなと。現実の問題でもある。

 子役たちがステキで、ついついひきつけられてしまうのだった。

 この邦題は案外悪くない。原題は「MY SISTER'S KEEPER」

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