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「エンド・オブ・ザ・ワールド」

 設定としてはよくある地球破滅もの。小惑星の衝突が回避できない事態となって、人々は次第に無気力になっていく。遣り残したことをしようとか、離婚したり、結婚したり。保険セールスマンの主人公の妻はなにもいわずに彼の元を去ってしまった。会社では社員が減り、会社はいまなら誰でも管理職にしてやるとかいいだすが、もはや仕事をすることになんの意味もない。

 町には暴徒と化す人々も現れだし、命の危険も近づく。同じアパートの隣人女性をたまたま助けることになり、彼と彼女は車で逃げ出すのだが、ガソリンがすぐに終わって動けなくなる。やむなくヒッチハイクをすると一台の車が止まったのだが、この車の運転手はどうやら彼らを殺し屋と思ったらしく、妙なことを言い始めるのだった。

 実際、このまま生きていてもということで、殺してもらうことを依頼してもいたらしく、男は撃ち殺されてしまう。ふたりはその車を拝借してまた走り続ける。向かう先は、彼女の故郷イギリス。親と離れて暮らしていたが最後くらいは親元に帰ってあげればよかったという後悔の念。一方で彼のほうは昔結婚したいと思いつつ果たせなかった初恋の女性の存在。

 実はしばらく前に手紙がきていたのだが、間違って同じアパートの彼女のところに届けられていたらしい。彼女はその手紙を残してはいたものの、渡すことはすっかり忘れていた。読んでみるとどうも会いたいふうが見える。会いに行くべきなのか。もう別の人と結婚して子供もいてというはずの昔の話。けれど、この事態にあってふと懐かしさや当時を悔やむ気持ちが芽生えてきたといえなくもなかった。彼もまた同じ。さて、どうしようかと。

 そうして車を走らせ、様々な思い出の人々に出会い、不思議な出会いをもしつつ、この地球最後の日々を誰とどう過ごすべきを探す旅が続く。ふたりが選んだ結末はどこへ落ち着くのか。

 序盤や途中、いまひとつか思ったりもするのだけれど、次第にこの最後の旅のもつ意味がとても重くのしかかってくる。もしも、こうして最後のときを迎えることになったなら、自分は誰とどうしていたいと思うのだろうかと。

 なんとも切なく、けれど温かみのあるよい作品だった。邦題はやや物足りないし、別の SF エンターテインメント映画と混同されかねない。原題の持つ意味をもう少し汲み取った邦題のほうが、本当はよいのだがなあとは思うのだけれど。(原題は「SEEKING A FRIEND FOR THE END OF THE WORLD」)


B00C14JUHMエンド・オブ・ザ・ワールド DVD
TCエンタテインメント 2013-06-28

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