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さよなら船戸与一

 船戸与一が亡くなった。多くを読んだというほどではないのだけれど、いくつかの好きな作品がある作家だった。面白かったのだが晩年は今ひとつという感もあって、訃報に添えられた写真(比較的最近なのだろう)を見ると、少しげっそりとして昔のような覇気はもうなくなっているので、そんなところにも現れていたのかもしれないなと思ったりした。

 そもそもは多分月刊だかのコミック誌に連載された「猛き箱舟」だったかの漫画だったような記憶がある。あるいは「山猫の夏」のほうだったかもしれない。いずれにしてもそのあたりが漫画化されて連載されていたのを読んだのがはじめだったような記憶なのだった。

 それ以前から噂は聞いていたように思うものの確かに読んだということはなかったような。まあ、その漫画化されたものがなかなかに面白かった。日本人作家によるものとしては格段の出来で、まさに手に汗握るという感じで続きが待ちきれないといった感を久々に味わったような記憶がある。

 そうして原作小説もいくつかは読んで、「猛き箱舟」などはその分量の多さにやや唖然としつつも、読み始めるとすぐに作品世界に引きずり込まれてしまい、ページを繰る手ももどかしくといった風になるのだった。文章としてはやや荒削りな感じがするのだけれど、それを補ってあまりある迫力のようなものが行間から迫ってくるとでもいおうか。

 近年になって(10 年くらい前か?)新聞連載になった「藪枯らし純次」を連載中に読んでいたのだけれど、どうもかつてのような勢いがないままだった。結末にしてもどうも煮え切らない感じで、残念な思いだった。ことによればもうそのころからかつてのような勢いを失っていたのかもしれない。

 追悼の意味もこめて急遽「猛き箱舟」を出してきて再読をはじめているところ。今は、ゆっくり、ゆっくりと。

4087486362猛き箱舟〈上〉 (集英社文庫)
船戸 与一
集英社 1997-05

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4087486370猛き箱舟〈下〉 (集英社文庫)
船戸 与一
集英社 1997-05

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 漫画はこれか。というかプレミアムみたいだ。

486225473X猛き箱舟 (キングシリーズ 漫画スーパーワイド)
船戸 与一 柳澤 一明
小池書院 2009-06-25

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