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愛 するということ

 先日、長野県阿南町でふるさと納税の申し込みが一時休止された。1 万円につき地元米 20kg をプレゼントするというもので、昨年なかなか評判がよかったらしい。そこで今年はインターネットのホームページからも申し込みができるようにしたそうなのだが、あっという間にパンクしてしまいアクセスしづらい状況になってしまったとか。

 そのためもあってか電話回線も混雑し、ひっきりなしに電話があるというか、誰かが電話を切らないと電話をとったりかけたりできない状態になってしまったらしく、翌日にはとうとう申し込みそのものをいったん休止すると発表。ホームページのほうは一度にアクセスできる人数を制限して再開するとか言っていたらしい。それは、現実的な解決になっているのだろうか?

 それはともかく。

 今年は米の価格がやや下がっている傾向にあって、よほどのブランド米とかでもなければ小売の価格としては 10kg あたり 2000 から 3000 円くらいで落ち着いている。卸の価格としては 60kg あたりで 1 万円くらいというので、これでもそこそこ利益はでる計算。もちろん、稲作にかかった費用にみあっているかどうかはここからはわからない。とはいえ、兼業農家ではあるものの親戚の話を思えば 10kg を 3000 円程度で売れるならば案外よい値段という話は聞いたことがある。まあ、それは状況によって異なるで一概には言えないとはいえ。

 さて、20kg をプレゼントというと小売的な観点でみればおよそ 5000 円あまりのものをお返しすることになる。農家さんからの買取価格ということで考えれば小売と同じくらいは支払うべきであろうから、そのくらいとおよそ考えれば実際に残る金額は半分ほどになることになる。

 ではということで「ふるさと納税」はいったい何かを見ると、納税という名前にはなっているものの実態は寄付であると総務省のページにも書かれている。で、それによって所得税などの減免措置を受けることができる。

 では、そもそも寄付とはどういうことか。新明解国語辞典によれば、

きふ【寄付】-する  人の仕事を助けるためにお金や物を無償で提供すること。

 とある。そもそも寄付は見返りを求めないもののはずで、しかしながら地方への資金(寄付金)の還流という目的を果たしやすくするためか、減免措置がある。にもかかわらず、さらにその半分(今回の阿南町の例の推定)ほどが寄付者に対して還元されるというのはいささかやりすぎではないのだろうか、と。

 全国の自治体がこぞってふるさと納税による集金をもくろみ、あの手この手を繰り広げお返しの品の豪華さを競い合っている。いかに自分たちに金を集められるかを競っている現状は、やはりなにか間違っているように思うのだけれど違うだろうか。

 そうして、寄付金の半分以上もの金額に相当する品物などをプレゼントするというのは、さすがに景品表示法に照らしてもおかしいのではないかという風に思うのだが。

 少なくともお返しとしての品は景品であるというところには異論はあまりないのではないかと思う。寄付してくれたらこれだけ見返りがありますよという品物であり、景品に該当するというのは正当なところかと思う。もっとも、一応寄付という行為なので、これをサービスや販売にかかわる景品と同じようにとらえるかというのはやや判断が分かれるところかもしれない。

 けれど、仮に景品表示法の過剰な景品という概念に照らし合わせてみたときには、圧倒的に違反するような例ばかりではないかと思うのだ。一般懸賞では最高額は 10 万円までであり、総額は売り上げ予定総額の 2% までとされている。かりに 50% 還元していると考えれば 25 倍もの大幅な金額であり、違法もはなはだしいといえる。

 そうでなくてもお返しの豪華さはますます過激になっているようであり(なかにはいっさいそうしたお返しはしないという自治体もあるようだ)いくら当初の目的が地方へのお金の還流としても放置しておいてよい状況ではないのではないかと。これはもやは利益供与もはなはだしく景品表示法に則った対処が必要なのではなかろうかと。

 いや、根本的には寄付なのだからお返しなど一切認めてはいけないというくらいでよいのだと思う。少なくとも税の減免は受けているのだから。これを国が放置しているということ自体が嘆かわしいと思うのは、間違っているのだろうか。


[ 総務省|ふるさと納税ポータルサイト ]

[ 表示対策課 | 消費者庁 ]


 フロムも愛は技術あると言っていたではないか。

4314005580愛するということ
エーリッヒ・フロム Erich Fromm
紀伊國屋書店 1991-03-25

by G-Tools

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