「小さいおうち」
先日、テレビで映画「小さいおうち」を見ていたのだった。ということでちょっと記録。(と書いたものを例によってブラウザの挙動で雲散霧消してしまったので、しかたなく元気を振り絞って書き直している)
てっきり奥様と女中とのドロドロの愛憎劇とばかり思っていたら、ふたりはすこぶる仲がよかった。いや、最後はちょっと嫉妬心を出してしまったのかもしれないけれど、基本的には良好な仲だった。映画の宣伝ではなにやらとてつもない秘密がこの幸せそうな小さな家にはあるのだ、みたいな書かれ方だったのだけれど。
ということで、そういう意味ではさほどどうということもなく、もちろん奥様が旦那以外の男性と最終的に色仲になってしまってというところはあるのだが、あまり大っぴらにはしないままに終わるわけだ。
物語としてもその当時の(戦前・戦中の)小さいおうちでの物語りだけなのかと思っていたら、はじめにおばあちゃんになった女中さんが亡くなって葬儀を行うという場面から。さらには回想録をたくされてそれを読み直すといった趣向で展開するため、過去と現在が時折入り混じりながら描かれるという。
最後にようやく奥さんの子供の消息がわかって訪ねるくだりは、やや不満な感じがないでもなかったけれど、まあそれはそれ。淡々と時代を生きてきたひとつのちいさな家族をとりまく物語。そんな物語もあの時代のどこかにあったのだと思わせるというだけで価値はあったのかも。
回想録を書いている途中で、「おばあちゃん、嘘書いちゃだめだよ」という場面があって、なるほど自分が知っている歴史がすべてと思うとそういう反応になるのだなとなかなかに面白く思った。たとえ戦争中であっても、世の中はいろいろだったのかもしれない。けれど、こういうものなのだと思い込んでしまうと、それ以外を許容できなくなるものかと。
なかなかに楽しませてもらった。
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