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図書館危機 (図書館戦争シリーズ 3)

 購入したあとになんやかやとしていてずいぶんと後回しにしてしまっていたのだけれど、ようやく読んだ。読み始めたら早く読んでしまったというところはあって、残りページ数を思いつつ「あー、終わるなあ」と思いつつ読んだのだった。

 あとがきなどでも書かれているように、確かに今作では言葉狩りの話と、最後の茨城図書館の攻防の話がやはり印象深い。こうして読んでいるというだけでは気づかずにいたであろう出版方面における言葉の自粛というのは、どうやらなかなかに根深いところがあるようで、テレビ方面の放送禁止用語であれば比較的巷間知るところではあるけれど、真実メディア良化委員会的な動きというのは思ったよりも進行していると思うべきなのかもしれない。そう思うと少し背筋が寒くなる。

 昨今でいえば、インターネットの一般化の激しさがそうした言葉狩りに拍車をかけているようなところもあるような。瑣末な言葉尻をとらえて攻撃してみたり、それを避けるために言葉をより慎重にえらび、当たり障りのないように表現する動きというのは確かにある。

 茨城図書館での攻防と、図書館内でのヒエラルキー問題も現存する貴賎意識のあらわれでもあって、これまた興味深い物語。より現実的な例示とすればいまもブルーカラーとホワイトカラーとの差別的な意識というのは存在するわけで、こうしたものはなかなか変わらないのだろうなと。

 それにしてもこうしてうまい作家さんの作品を読んでいると、どうしても自分の文章力のなさをあらためて突きつけられるようで恥ずかしくもなる。やはり読まれる作家さんの文章はうまいし、面白い。それをまざまざと見せ付けられてしまう。

 本編としてはもう一冊残っているので、それはまたいずれ読むことに。

404389807X図書館危機 図書館戦争シリーズ3 (角川文庫)
有川 浩 徒花 スクモ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-05-25

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