「Dr.パルナサスの鏡」
馬車の荷台が舞台となる旅一座。パルナサス博士の不思議な鏡の向こうには、その人の夢の世界が広がっている。憧れであったり希望であったり、はたまたこうなって欲しくないことであったり。そうして客が愉悦を味わって帰る。そんな不思議な鏡だが、博士の力を使わないときにはただの銀色の幕でしかない。
そんな博士の前に現れる不思議な男。いわくありげでもうすぐ期限がやってくるという様子。実は博士は永遠の命と引き換えに娘が 16 歳になったら娘を手放す約束をしていたのだった。手放すというかつまりは命をやると。相手は悪魔。悪魔と取引してしまっていたのだと。
そんなことは知らない娘。座員。けれど悪魔はもう一度条件を出してきて、客寄せに勝ったら約束は反故にしてもいいというのだった。たまたま命をたすけることとなった男も手伝って舞台をすることになるのだが、その男の素性もなぞであり、それでいていわくありげなのだった。
娘の命はどうなるのか? といったあたりなのだけれど、実のところ見ているだけではまったくそうした事情がよく飲み込めない。梗概を読んでようやくそれとわかる。そのあたりの作りがやや物足りない感じはある。それさえわかればもう少し楽しめる。
事情がわからないまでも、不思議な物語の面白さはもちろんある。博士の力による鏡のなかで広がる夢の世界では、その姿形も変わってしまう。憧れの容姿であったりする。それがゆえにキャストがだぶっている。
ネタだけいえばよく悪魔との取引なのでさながらショートショートにでもなりそうなネタでしかないのだが、それを広げて展開している不思議な世界はアリスの世界のようでもあってなかなかに楽しい。やはりそのあたりの設定、いきさつがもう少し分かりやすく描かれていたらもっとよかったのだろうなと。
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