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声をかくす人

 ロバート・レッドフォード監督作品とか。リンカーン暗殺にまつわるなぞを、恐らくは独自の物語にしたのだろうか、という作品。

 暗殺にかかわった者たちが自分の息子の知人であり、宿屋をやっていたこともあってよくそこに泊まっておりたむろしていた。そんなことから宿屋の主人である彼女、メアリー・サラットも一味であるとして拘束され、大統領暗殺という事態の収束のためにも断じて有罪とし、断罪しなくてはならないと政治的な動きに対して、南北戦争の英雄ともなった弁護士が彼女の弁護をしていくという話。

 メアリー・サラットという女性は実在していて、実際アメリカではじめて死刑となった女性なのだということらしい。ただ、その背景としての大統領暗殺との関係の詳細については、恐らくレッドフォードの想像なのだろうかとは思うのだが、詳細については知らない。

 裁判が続くにしたがい、軍事裁判となるので相手は軍部なのだが、あちこち手を回して彼女に不利な証拠や証言を捏造していく。しかし、それを覆すこともできない。なにより、その裁判そのものがすでに有罪で死刑とすることを目的としているので、裁判をする意味がもはやない。

 息子の居所がわかれば、彼女がもっとなにかを話せばというような状況もあるのだが、かたくなに語ろうとはしない。もっとも、何かいったところでそれが有利に働くとも思えず、「物言えば唇寒し」という状況。結局、なにも語ることはなく、死刑を受け止める。弁護士は自分の無力を嘆きつつ、彼女の最後を見届ける。

 最後に息子がようやく出頭してくるのだが、結局無罪放免となったというようなテロップで終わる。どこまでが史実でどこからがフィクションなのか、それはよくわからない。少なくともアメリカ史上はじめて死刑になった女性ということだけは事実なようで、それ以外は先にも言ったようにわからない。

 ただ、こうした混沌とした事態においては政治はどろどろとした権謀術数と化すであろうことは想像に難くなく。少なからずここで描かれたような状況もあったのかもしれないと思わせる。そうしたことはアメリカに限らずどんな世界においてもきっとあるのであろうと思うと、なんとも寒いものを感じたりもする。

 なかなかに見ごたえのある作品だった。

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