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突然、みんなが恋しくて

 レントゲン技師として働く女性。これまでに多くの男性とつきあってきたが、なぜか長続きしないらしく分かれてしまう。必ずしも自分からというわけではないようだけれど、少し変わっているところもあるのは確からしい。最近付き合いはじめた男性(靴屋店員)を職場に呼んでレントゲンをいろいろなポーズで撮影。その写真を組み合わせてアート作品にしたりしている。

 そんな彼のところにやってくるのが彼女の父親。付き合っている相手が気になってしかたない。が、話はじめるとどうしても相手の癇にさわるような言葉ばかり。彼女の父親とわかって男性は頭にきてしまう。

 父親は家族で食事にでても隣席の客にちょっかいを出して顰蹙を買う。家族も父親に辟易としている。父親はまったく父親らしいことをしないままにこれまで過ごしてきたらしい過去がそれとなくわかってくる。今も自分よりも若い女性と結婚して、しかも最近子供ができたらしいというが、やはり産むべきじゃないから「君、おろしてくれないか」みたいなことを言い出す始末。

 この父親は寅さんだなと。寅さん映画のファンというのは多いのだが、よくよく考えて見て欲しいのだが、本当に身近にこういう人物がいたときにそれはうれしいだろうかと。悪気がないのだろうことはわかるものの、それでもいつもイライラさせられるというのはあってそれはとても不快なことではないだろうか。寅さん的な人というのは自分の都合が優先していて回りのことなどあまり考えない。周りを考えているようでいて、実はそこまで深く考えていない。結局は迷惑をかけてしまう。

 結局この父親と仲直りするべきだという友人知人の言葉もあるのだが、なかなか彼女はそれを果たせない。嫌な思い出のほうがどうしても先にたってしまう。父親が家族を思っていないわけでもないとわかりはするが、なかなかそれを素直に許すのは難しい。そうこうしているうちに父親が亡くなってしまう。もはや仲直りすることもかなわないということで、ようやくいろいろと父親のことを知ることになる。

 父親は不器用なだけだったのだ、みたいな終わりでそれはそれでよいのだが、それでもなおこうした寅さん的な人物というのは基本迷惑であるというのも拭えない事実なので、美談にして終わりというのはちょっといやだ。あの父親の言動はどうあっても単純に許されていいものには思えない。まず、父親が「すまなかった」という言葉があってよいのではないかとどうしても思う。という意味においては、いろいろ思わせてくれる佳作ではあるけれど、嫌な気分が残ってしまうのも事実なのだった。

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