« 花とアリス | トップページ | ラスト・ターゲット »

日本の布をめぐる旅

  E テレで放送していた「にっぽんの布 ~訪ねて・ふれて・まとう~」というのをたまたま途中の回から見ていた。きょうの料理の流れでなんとなくといういつものパターンだったかと思う。ところがこれがなかなか興味深くて面白かった。

 簡単にいってしまえば日本にあちこち残る伝統的な織物がどのように作られているのかという現場を訪ね、その歴史と技を知る。後半ではそれらの布を使ってちょっとした(ときにはやや大物の)作成をして楽しむというもの。

 紬であったり絣であったり、友禅であったり、刺し子であったり。とにかく名前としては知っていても、それが実際どのような特徴を持ち、どのように作られているということまではよく知らなかった。そしてそれぞれがいかに手間隙かけて作られているのかというのをつぶさに知るにつけ、これは値段がはっても仕方あるまいとも思い、さらにはこれだけ手がかかるだけにきちんと技術を伝承して残していくということもまた、しなくてはならないのだろうと思いを新たにしたり。

 模様を織り込むために緻密に計算された位置に糸の段階で色止めのためのしぼりなどをしておいて染め上げる。それを寸分たがわぬ位置に配置して織り上げていく気の遠くなるような作業。

 紡績という言葉が持つ本来的な意味における作業の実際。それなくして糸はできず、それなくして布はできない。

 温かさを与えるためになんどもなんども針をさして厚くしていく刺し子。それだけでなくデザインとしての美しさ、楽しさまであたえるのだが、その緻密な作業の根気強さ。気が遠くなるような手間隙をひたすらかける気力、体力。

 近代のさながら印刷のようにただただ大量生産していく布地との違いが大きすぎて、申し訳なく思うくらいだった。そうして得られた大切な生地であれば、それはそれは大切に扱わなくてはもったいないし、何代も受け継いでき続けられることこそ喜びというものでもあろうなと。

 案内役となった川上麻衣子さん(冒頭の回だけは白石美穂さんだったらしい)の着物姿も素敵で、ああ着物の似合う女性っていいよねえとか思いつつ見ていたのだった。終わってしまったけれど。貴重な知見を得られた番組だったなあ。

4141897930にっぽんの布を楽しむ―訪ねて・ふれて・まとう (趣味Do楽)
吉岡 幸雄
NHK出版 2014-11-25

by G-Tools

|

« 花とアリス | トップページ | ラスト・ターゲット »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日本の布をめぐる旅:

« 花とアリス | トップページ | ラスト・ターゲット »