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あなたは本物ですか? 本物ってなんですか?

 NHK スペシャルで「NEXT WORLD」 3 回目と 4 回目。大雑把に言うと 3 回目がサイボーグ化の話で、4 回目が仮想現実や拡張現実の話。サイボーグ化については人工的に機械と一緒になって能力を増強したり、はたまた永遠にも似た命を得たりといったようなことが可能であったとして、それを受け入れるかいなかは人それぞれであるし、はたしてそこまでしてよいものなのかどうかといったあたりをいろいろ。

 失われた機能を補完するものとしての脳と機械との接続例として、体の自由を失っていてわずかに顔が動かせるだけという女性の脳と機械の腕を接続し、思ったように動かすための実験が取り上げられる。かなり意のままに使えているようでそこそこ制御できるようになっていたようだった。が、実験の年齢的制限とかで最終的には外すことになったのだと終わった。そのあたりの詳細はわからない。

 今もある体力を補完するためのアシストロボット装置。重労働や介護現場など体力仕事の現場においていかに負担を軽減するかという目的を持って使われる補助装置。実社会的なものから軍事的なものまでいろいろ紹介されるけれど、常に技術の進化は軍事かエロかのどちらかによっているというところ。

 人が無意識的に見ているものをコンピュータ処理して、危険を知らせたりというのはもはやマンマシーンインターフェースとしてかなり不気味な世界にいこうとしているような感覚も覚える。が、やはり漫画や SF 小説のほうが先に行き過ぎていて少々物足りない感じもしてしまう。

 そもそも 2015 年がすべてのはじまりであった。というフレーズがあまりにとってつけた感が強すぎていやになってしまうのだった。

 機械の腕と脳を接続する話も面白くはあったが、できれば以前見た目の見えない人の脳に機械を接続して映像を脳に送り込むという実験のその後あたりをやってくれたらさらに面白かった。数年前に「地球ドラマチック」でやっていたかと思うのだけれど、当時はまだ大雑把な形とぼんやりした色わけくらいしかできなかったのだが、それでもはじめて”物を見た”という被験者にとっては大きな感動だったのを覚えている。

 わたしたちが普段目で見ているような世界を機械的に脳で見ることが可能になるなら、非常に画期的なことかもしれない。

 4 回目の拡張現実や仮想現実については、歳をとったり怪我や病気で自由がきかないような人にも移動する楽しさを与えてくれたり、懐かしい風景にもう一度出会うことを可能にするという意味では有益なことなのではないかなとは。

 ただ、やはりデジタルクローンとかいうのは果たしてどうなのかというのはある。今それを思っているあなたは本物なのか? という問いはなかなかよいところをついていた。もっとも、その時代がかりにくれば、そもそもそうした質問そのものにもはや意味はないということでもあるのだろうけれど。

 可能であるからなにをしてもよいとは思わないし、というかそうまでする必要などないであろうし、そもそもあなたはそれほど重要なヒトなのだろうかと。すべての生物が永遠に仮想の生を受けるとしたら、それはちょっと困った世界になりはしないかと。

 すべてのヒトがもはや実体のないデジタル世界での存在にすぎない社会。それはある種、映画「マトリックス」の世界にも似て虚しい社会ではないのか。など。

 時代は変わるし技術も変化していく。きっと未来はいまとは違う。それはそれで受け入れるしかないのだろう。ただ、それでもこの 2015 年がすべてのはじまりだったというのは、この番組のための方便でしかないので、やっぱりなんだかなあと思ってしまうのだった。(まあ、面白いのは確かなのだけれど)

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