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NEXT WORLD はP.K.ディックの夢を見るか

#長くなってしまった。要するに「いま未来予測として扱われているものはやや眉唾な部分が多いのではないか」「ビッグデータという言葉の言い換えでしかない部分も」「番組としての本論は2回目以降だろう」「よほどディックやアニメのほうがより進んだ世界を予測しているのでは」といったようなこと、です。

 昨年の暮れも近くなったころから GYAO! の CM でさかんに流された NHK スペシャルの「NEXT WORLD」。番組ホームページで登録してアバターを作れというようなもの(もちろん高圧的なメッセージなどではない)。はじめはなんのことやらと思っていたのだが、そのうちにようやくわかったのだった。

 ふたを開けてみたところ冒頭で 30 年後のコンサート風景というイメージ映像として観客アバターが取り囲むなかで行われるコンサートが描かれたわけだ。一応その部分はライブ映像ということらしい。

 内容としては近未来ではコンピュータによるさまざまな予測によって社会が営まれ、人々はもはやそれなしでは生活できないレベルになっているのではないかということ。それを裏付ける意味での近年のコンピュータ技術・科学の進展などが紹介される。

 ドラマ仕立てではその正負両面(?)的なところが描かれはしたものの、否定的な比重が高いのかと思わせつつも、「もはや後戻りなどできないのだ」と追い立てる。

 が、しかし、本当に進み始めた技術・社会は後戻りすることも、それを拒否・否定することもできないのだろうか? と。

 現代においてもスマートフォンにばかり向かい合っていてそれに翻弄されているかのような人々の多さはもはや後戻りできない状況かもしれないし、似たような風景にすでになっているともいえる。けれども、そんな世界とは無縁な人がいるのも事実であるし、一度はそこへ身をおきながらもそれを捨てていわばアナログな世界に戻ってくる人も一定数いるというのもまた厳然たる事実ではなかろうかと。

 「もはや後戻りできない」というのは、さながらどこぞの政府が推し進める「この道しかない!」という論法に通ずるものを感じるのは考えすぎだろうか。

 また、未来予測と盛んにいっているものの、震災以降騒がれるようになったビッグデータの延長線にあるとしか思えないのも事実。ビッグデータを処理する、その目的だけを取り出したかのような未来予測が 2015 年からはじまったみたいな物言いはやや無理があるのではないかとも。ビッグデータ活用にともなうさまざまな分析やそれにともなう予測などはすでにはじまっていることであり、2015 年からすべてが変わり始めたというようなことではないと思うのだが。

 番組の趣旨としての 2015 年を無理やり意味づけようとしていると考えてしまうのは、無理があるだろうか。

 また、そこで紹介された予測にしても、たとえば「攻殻機動隊」であったり、「PSYCHO-PASS」であったりで描かれる社会のそれに比べてやや陳腐といえなくもない。人間性や職業適性、犯罪を起こす可能性などまですべて左右されてしまうような社会。あるいはまたそれはディック的な世界のほうが、よほど真にせまって見えてくるというもの。

 いや、番組の出来のよしあしということではなく、そんな未来予測としてそれらはどうなのだろうか、というレベルでの話。

 アメリカで人口知能によって犯罪の検挙率があがっているとかいうニュースは以前もニュースだったか「クローズアップ現代」あたりだったかでも紹介されていた。しかし、これはちょっと違うのではないかとも思える。そもそもパトロールなどまったくしてない地区だったということ。つまり、犯罪者および犯罪者予備軍にとって(一般住民にとってもだが)その地域はパトロールの手薄な地域であり、犯罪にとっては有利にな地域であるという認識はむしろ公共のものであったはずではないかと。であれば、珍しくそこをパトロールしたら犯罪に遭遇することは十分ありうる。それがたまたま指定された範囲内ぴったりであるかどうかはあまり重要ではなく、たとえばそこまでいったところでたまたま見つけられただけに過ぎないかもしれない。

 また、すべてが予測されるのであれば、本来的には犯罪そのものが起きないように社会を誘導できてしかるべきというところもあって、はてさて不思議なはなしにもなってくる。事件の発生を予測はできるし、それを避けるように誘導することもできる。しかし、発生そのものをなくすような方向へ誘導はできない。わからないでもないが、なにか矛盾しているような気がする。つまり、都合のよいように論理を展開しているだけのような。

 とまあ文句をつけたようにも見えるけれど、恐らくはきょうからはじまる4回こそが普通に NHK スペシャル的な内容になるのではないかと思うので、はっきり言って昨夜のは余計なものだったという印象も強い。あくまでもプロローグとしての余分なのに張り切りすぎたのではないかとも。もっと普通にテーマを実行したらよかったのではないかとも。

 余談ながら、ここまであらゆるものにコンピュータが入り込み、それがネットワークに接続される社会において、もはやネットワークインフラというのは個人が敷設したり契約する類ではなくなるのだろうなと。過程に光ケーブルであれ電話線であれひいてというのはもはや不要にならざるをえないのではなかろうかと。どこにいてもあらゆるものがネットワークにつながるのだから、無料 WiFi がどこでも使えるというようなイメージではないのかと。

 であれば過程にわざわざ線をひくということも無用になってくるのではないか。携帯電話であったりというはなから自身の回線を使用しようとする機器は別として、あらゆるものに組み込まれたそれはそういう手段を持たないわけだ。であれば無料 WiFi といった感じのものが普及しない限り実現は難しいのでは。でなければあらゆる機器を購入するたびに回線契約までしなくてはならないようになってしまうのではなかろうか。そんな未来は嫌だし、駄目だと思う。

 とすればもはや回線契約をすれば安くするような売り方はできなくなる。いろいろ変わってくるものがありそうだ。では、その回線使用料というのはどうなるのだろう? 誰がどう負担するのだろう。あらたな税金として国が徴収するのだろうか? アニメにしても映画にしてもさすがにそうしたところに言及されるものはないが、現実的な問題として将来はでてくるのかもしれない。

 ともかく、こんなふうにあれこれと考えるきっかけにはなったのだなと。さて、シリーズ最後でどんな感想をもつにいたるか。

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