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アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風

 ようやく読んだ。といっても読んでいる時間そのものはさほど長くはなくて、案外すいすいと読み進めていたのだった。途中にほかのものやらなにやらで中座してしまうことが多くて、そんなこんなでやや時間がかかった。

 ということもあってか、なんとなく細かな内容がすこしおぼろげな感じ。いや、不思議な異空間となってしまったのか、はたまた異空間そのものなのかという状況のなかで虚実入り混じったかのような、どれが現実でどれが現実でないのか。あるいはそのすべてが現実であって現実ではないのか。というような非常に混乱する世界、時間、空間でのジャムとのある種心理戦のようなものが描かれた作品群、といったところ。

 地球のジャーナリスト、リン・ジャクスンに届く不思議な手紙。なぜ届いたのかもわからない真偽不明なその手紙が発端で、人がジャムとなるという不思議な告白。一方でフェアリイでは雪風が突如消えうせてしまったり、人がいたりいなかったり、ここにいたかと思えば次の瞬間には別の場所にいたりと時空が乱れたかのような世界が展開。

 正直、こちらとしてはなにがどうなっているのかつかむことにすらなかなか苦労する。加えてここでは言語についての考察が物語りの主軸をなしているようで、言語論というか言語観というか、意識、といったある種の精神世界的な、観念的なものが生み出す擬似世界とでもいうか。そうした言語をあやつる、言語に操られる展開が続くので物語の進展以上についていくのがなかなか苦しいところも。

 そういえば神林長平はこうした言語についての考察というものを主とした作品というのも多く書いていたのだなと。だから、これまでの雪風のシリーズとは少し違った雰囲気を持っている。少なくともこれまで以上に。

 で、物語はまだまだ終わらない。終わりはまったく見えない。まさしくライフワークで死ぬまで書き続けるのかもしれない。とはいえ、続刊がでるのはまた 10 年くらい先なのだろうか? せめてもう少し短い間隔では読みたいような。いや、たとえ出版されても自分がそれを読むのが遅くなるというだけのことなのか。

 なんとなくこの感覚というのは、この現代だからこそふさわしい作品なのかもしれないと、昨今の社会を見て思ったりも。

4150310246アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)
神林長平
早川書房 2011-03-10

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