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新・暗くなるまで待って

 惹句としては「あの名作のリメイク!」みたいな文字が躍っていたのだけれど、かの名作をひきあいにだそうだなんて 100 年早いわ! という感じの作品。いや、そこまで言うことはないけれど、まあ過度に期待するとがっかりする。

 ヘップバーンの作品は目が見えないのだということが分かってからの描き方がなかなか見事で、相手は見えていないはずだを利用しようとし、ヘップバーンのほうも相手は自分に気づかれていないと思っているということを十分に利用している脚本になっていて、しかもほとんど同じ室内だけの物語展開なだけに逃げようのないドキドキ感といったものまで伝わってくる。

 一方で、こちらはおばあちゃんの家にひとり残ってしまった女の子。まだ目が見えなくなってそう日はたっていない。それでも日常生活はさほど不便のない程度にはなっているらしいが、さすがに数ヶ月しかたっていなくて脱走犯とのこの攻防はすばらしすぎる。見えていてもここまでできるのかというくらいの動きのよさと運のよさ。あまりに都合がよすぎてしまうというあたりで少しずつ期待が下がっていく。

 ちいさな田舎町全体にからむような描き方であるというところもどうも散漫としてしまうところ。実はおばあちゃんは帰宅していて、そうそうに脱走犯に殺害されていましたという展開もちょっと無理やりすぎる。

 それでも脱走犯のひとりを地下室に閉じ込めてしまったあと(それすらどうやっても見えているとしか思えない展開なのだけれど)、仲間が保安官を装ってやってくるという件はそれなりによい演出だった。ただ、あまりにも疑念を持ちすぎていて少々脚本に弱さが見える。はなから盲目の女性を疑っているあたりができすぎなのだ。それ以前から一緒にいたわけではないのだから、もう少し信用するような接し方のほうが自然なのではないかとも。

 結末についてもあっさりで、しかももう盲目の彼女がスーパーウーマンとしか描かれないあたりがなんともはや。

 お世辞にも「新」などと名乗ってはいけない作品だろうと思うのだった。まあ、邦題がというだけなのだけれど。あ、なによりも暗くなるとかほとんど関係ないというあたりも、こういう邦題つけては駄目だと思うのだった。

 原題は「ENEMY WITHIN」。

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デボン・ラー
アルバトロス 2008-11-12

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